「取材の謝礼」ということで言えば、「ジャングル奥地の未接触部族の撮影に初めて成功した」みたいなロケでは、現地の政府機関への「取材協力金」の支払いが必要なケースも多いです。少数民族が多いある国では、「ある民族を初めて撮影する」謝礼金の相場がかつては数十万〜百万円くらいだったということですが、それを日本のとある放送局が金にモノを言わせて10倍くらいに吊り上げてしまい、世界じゅうの顰蹙を買ったことがあるのは業界では有名な話です。
「高額な謝礼」という例では、かつて北朝鮮の脱北者たちへの取材がブームになったときには、取材謝礼の相場が驚くほど急上昇しました。各局で「面白い証言ができる脱北者」の取り合い状態になり、インタビュー1回で謝礼10万円くらいは当たり前になってしまいました。ある局が、「北朝鮮内部の衝撃的な映像」の素材を2000万円以上の高値で落札したという話も耳にしました。
ある脱北者から「このあいだNHKの取材に応じたら、謝礼金を払わずに記念品のタオルしかくれなかった」と文句を言われた(テレビ朝日の私がなぜか)こともありますし、「喜び組の女性」のインタビューが終わった直後に、「もっと謝礼をたくさん払え」と言われて撮影済みのテープを奪われ、走って逃げられたこともありました。「脱北者バブル」のような状況下、かなりおかしなことになっていたのはたしかですね。