ミラマックス社の台頭の裏には…

「ロードショー」は8月号で「YOUNG HOLLYWOOD」と題した特集を展開。その表紙を飾ったジュード・ロウ&グウィネス・パルトロウ(『リプリー』1999)と、9月号のシャーリズ・セロン(『サイダーハウス・ルール』1999)はいずれもミラマックス作品に出演している。

ミラマックスといえば、ハーヴェイとボブのワインスタイン兄弟が立ちあげたインディペンデント映画の配給会社で、93年にディズニーに買収されてキャッシュフローが安定すると、アメリカにおけるインディペンデント映画と外国映画ブームの立役者となった。自社でも映画製作を手がけるようになり、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)や『恋におちたシェイクスピア』(1998)はアカデミー作品賞を受賞している。

当時、ミラマックス作品は若手俳優の登竜門となっており、『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』(1997)のマット・デイモンとベン・アフレックをはじめ、多くのスターが育っていった。その成功の裏で、若い女優たちが大プロデューサーとなったハーヴェイ・ワインスタインの毒牙にかかっていたことは、最近の#MeToo運動で明らかになっている。

ニューミレニアム到来。2000年代以降を牽引するジョニー・デップやアンジェリーナ・ジョリーが頭角を現す。が、映画界の裏では、悪辣で大がかりなハラスメントが進行していた!?_2
その後2008年の休刊まで幾度となく表紙を飾るジョニー。これが初登場号
©ロードショー2000年6月号/集英社
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さらに、2000年はジョニー・デップが表紙に初登場。『シザーハンズ』(1990)や『エド・ウッド』(1994)などティム・バートン作品の出演俳優として知られた彼は、ミラマックス作品の『ショコラ』(2000)など活躍の幅を広げていた。そして、『アルマゲドン』(1999)のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが手がける『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(2003)のジャック・スパロウ船長役で世界的なスターになるのだ。

新たなスターが現れれば、消えていくスターもいる。1991年に初登場して以来、人気を博していたウィノナ・ライダーは、2000年11月号の表紙が最後となる。翌2021年に米ビヴァリーヒルズで万引き事件を起こし、イメージダウンしてしまうためだ。
皮肉なことに、ウィノナ自ら製作総指揮を買って出た意欲作『17歳のカルテ』(1999)で共演に起用したアンジェリーナ・ジョリーは、ハリウッドを代表する女優へと成長していくことになる。その後、ウィノナの完全復活は、Netflixの『ストレンジャー・シングス』(2016~)まで待たなければならなかった。

◆表紙リスト◆
1月号/ナタリー・ポートマン 2月号/ブラッド・ピット 3月号/ジョディ・フォスター 4月号/レオナルド・ディカプリオ 5月号/クレア・デインズ 6月号/ジョニー・デップ※初登場 7月号/ミーナ・スヴァリ※初登場 8月号/ジュード・ロウ&グウィネス・パルトロウ※両者初登場 9月号/シャーリズ・セロン 10月号/マーク・ウォルバーグ※初登場 11月号/ウィノナ・ライダー 12月号/キャメロン・ディアス
表紙クレジット ©ロードショー2000年/集英社