「数年前までのキャバクラでは、ハズキルーペをお尻で踏めっていう、“ハズキハラスメント”が横行していましたから(笑)」
――少し柔らかい話題も取り上げたいのですが、香川照之さんのセクハラ問題なんかは、異様に社会の関心が高かったと思います。今どき、まだこんなセクハラが残ってるんだっていう驚きと、香川さんのパブリックイメージとのギャップが騒動を大きくしたのではないかと思いますが。
でもそもそも香川さんの酒癖の悪さは、割と有名だったらしいですけどね。私は気軽な気持ちで依頼を受け、香川さんの件でちょっとしたコラムをウェブメディアに書いたら、ものすごい数の人に読まれて(笑)。いやいや、なんでこんなに関心が高いんだろうとびっくりして、改めて興味を持ちました。
香川さんについて書いたコラムは、その月に一番読まれた記事になったとかで、なんか賞もらいましたもん、10万円くらい(笑)。内容の半分ぐらいは香川さんの話というより、“ホステス遊びするならこういうマナーで”という、水商売のお姉さんの話だったんだけど、どん、って香川さんの写真を付けたから、すごく読まれたんだと思います。やっぱり香川すげー、あー関心が高いんだと(笑)。
――香川さんの件では当初、『水商売をやっているプロの人なんだから、それくらいいいじゃないか』みたいな男の人たちの声も、多かったですよね。でも、徐々に『だからってしちゃいけないことが、もちろんあるでしょ?』『これはハラスメントでしょ?』という声の方が大きくなってきた。そういう意味では、世の中の変化を感じることができた案件だったとも言えそうですね。
だって数年前までのキャバクラでは、ハズキルーペをお尻で踏めっていう、“ハズキハラスメント”が横行していましたから(笑)。もちろん、チップがもらえるならやりたいという子がいるのは全然いいと思うし、何なら私自身も昔は、そういうことをどんどんやってチップを稼ぐ、“プライドより金”タイプの脇の甘いキャバ嬢でしたけど(笑)。
日本は法律の兼ね合いもあって、風俗も、抜きがあるサービス・抜きがないサービス・お酒を一緒に飲むだけのサービスとに住み分けられていて、それぞれのお客さんに求められる矜持やマナーがあります。もちろんそれを踏み越えても、運がよかったり女の子に好かれていたりすると大丈夫だけど、運が悪いとこういうことになるって話だと思うんですよ、香川さんの件は。
――あとは酒癖の問題ですよね。
酒癖が悪い人と付き合うと、本当にすごいストレスになるじゃないですか。だって、ひどいことを言われてこっちは傷ついているのに、“いや、あれは飲んでたから”とか言われても。
私は飲んでないのに、“飲んでたから”で免罪されると思ってる感じは、すごく腹が立ちます。酒癖の悪さを自覚している場合は、自分で何らかの救済策を持たないと厳しいと思いますよ。処理してくれる、よきアドバイザーを持たないといけないですよね。
アウト!ってなったら、もう縛り付けてでもタクシー乗せてくれる後輩とか、力技で『もう帰った、帰った!』って追い返してくれるママさんとか。そういう人を周りに置くべきだと思います。
後編では、見なかったワールドカップ、安倍氏の国葬儀、岸田政権の今後、小室圭さん……について聞いていく。
インタビュー・文/佐藤誠二朗 撮影/井上たろう
#2「私たちはすごく非現実的な、夢の中にいるような時代を生きている」見なかったW杯、安倍氏の国葬儀、岸田政権の今後、小室圭さん……芥川賞候補作家・鈴木涼美が噛み砕く2022-2023年の世相はこちら