愛知万博と異なる一般客の来場機運
前売り券の販売数が1000万枚を超えたとはいえ、十倉氏は目標販売数の1400万枚には届かないとの見方を示している。その内訳を見ると、目標未達も当然のなりゆきと考えられる。
販売したチケットのうち、企業購入分が約700万枚で、修学旅行や団体旅行が約200万枚。特に企業購入分の比率が高く、全体の7割程度を占め、一般客は1割程度である。
愛知万博は、開催の一年ほど前にあたる2004年4月に前売り券が700万枚を突破していたが、経済界や地元企業の購入分にあたる協会直販の割合は、5割にも満たなかった。チケットぴあ、デパート、スーパー、旅行会社などへの委託販売のほうが比率が高かったのだ。
この年の3月の委託販売における単月売上は、2月比で10倍に急増しており、万博開催に向けて世間の来場機運が高まっていた様子がわかる。
大阪・関西万博の集客力が不十分であれば、チケット代で運営費が賄いきれずに赤字に陥るだけでなく、出展した企業が失望感を抱くことにもなる。将来的な大規模イベントへの企業誘致にも影響しかねないのだ。
大阪・関西万博が世間の来場ムードの高まりに失敗しているのは、一般客の集客を甘く見ていたことに尽きる。運営体制やPR費用、その使い道に片鱗が見られるからだ。そしてその根底には万博の先にカジノがあるという青写真を描いていることが透けて見える。