YouTubeの選挙への「圧倒的影響力」
7月10日に行われた第26回参議院議員通常選挙は、YouTubeの影響が顕著だった。もっともわかりやすい例は、NHK党の「ガーシー」こと東谷義和氏が28万の個人票を獲得、海外に居住したまま当選を果たしたことである。
その是非についてはさまざまな意見がある。筆者は「国内に戻って国会に出席できないなら、議員になるべきではない」という立場だ。だが、彼がYouTubeを背景に票を集めるだけの影響力があったことに疑問はない。
現在、東谷氏のYouTubeチャンネルは停止状態にあり、直接ののべ視聴者数を把握するのは難しいが、停止前までには120万人以上のチャンネル登録者がいた。彼の投稿動画の一部を使った「切り抜き」動画などを投稿する人々もいるし、連動している「NHK党」関係者の動画配信もあるので、実際にはそれよりもはるかに多い直接的な影響を動画視聴者に与えていると考えるべきだろう。
20代の半数以上が「1日1時間以上視聴」
では、YouTubeはどのくらい影響力があるのか?
調査会社・MMD研究所が2021年9月に公開したレポート(調査母数5706人のインターネット調査)によれば、全年代平均の場合、1日の間に一度もYouTubeを「見ていない」人は17.9%に過ぎない。若い層ほど視聴は多く、10代では76%以上が「1日1時間以上見る」と答えている。有権者である20代も、約56%が「1日1時間以上見る」計算になる。
グラフからわかるように、年齢を重ねるごとに1日の視聴時間は減っていくものの、メディアとしての価値が圧倒的に高いことは間違いない。