失いゆくものへの郷愁を感じてほしい

――それと本書の巻末にある四季折々の神宮球場の写真集には思わず見とれてしまいました。

取り壊しが決まってるなか、現在の球場で起こる出来事や取り巻く風景はいつか見られなくなる。だからその記録として四季折々の神宮球場を残しておきたい気持ちが間違いなくありました。

個人的には雨に濡れた座席の写真がすごく好きですね。これだけでも「神宮球場だな」って一目でわかる。

空撮した神宮球場(撮影:佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)
空撮した神宮球場(撮影:佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)

天気が悪いと観戦中はすごく鬱陶しいんだけど、それも含めて神宮なので、その表情を収められてよかったです。

――改めて本書で伝えたかったことを教えてください。

滅びゆくものに対する郷愁とでもいいましょうか。なくなってから初めてその思いに気づいてからじゃ遅いじゃないですか。

(写真/集英社オンライン)
(写真/集英社オンライン)
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だから、誕生99年の今年に本を出版して、今の段階から100周年に向けて読者とカウントダウンしたかった。

みなさんも今のうちに神宮をどんどん見て、触れて、100年という歴史と、いつかはなくなるかもしれないという郷愁を感じてほしいですね。

取材・文/武松佑季

『神宮球場100年物語』(朝日新聞出版)
長谷川晶一
『神宮球場100年物語』(朝日新聞出版)
2025年2月21日発売
2420円(税込)
304ページ
ISBN: ISBN:978-4022520364
明治神宮外苑の再開発で歴史ある景色が一変しようとしている。数々のヤクルト関係の著書もあるファンとして神宮球場に通い続ける著者が、神宮にゆかりのある人々をたずね、その100年の記憶をたどり神宮の過去、現在、未来を描く。
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