特典グッズは世相を反映?
――毎年もらえる特典グッズは、プロ野球ファンクラブの醍醐味のひとつですが、トレンドのようなものはあるのでしょうか。
長谷川晶一(以下、同) はい。コロナ禍ではマスクや卓上加湿器など、感染予防系の特典が一気に増えましたが、それも緩和されるとテントやアウトドアチェア、サングラス、ランタンなど、「脱巣ごもり」のアウトドアグッズが次々登場し、ようやく外に出られるという喜びがグッズを通して感じられたのが印象的でした。
最近ではワイヤレスチャージャー、スマートウォッチ、BluetoothスピーカーとUSB充電によるハイテク化が進んでいますね。
――この20年間でグッズのクオリティも上がっているのでしょうか。
飛躍的に上がりましたね。20年前は各球団が用意したグッズを、有無を言わさずありがたくちょうだいするしかなかったんですが、近年では球団がアンケートをとってファンのニーズを把握するといった、インタラクティブ(双方向)な関係へと徐々に変化しています。
だからこそ、特典グッズは多くの球団が選択制を採用し、グッズの多様化へとつながったかと思います。
そんな多様性マックスのなかで、長谷川氏も太鼓判の特典グッズを紹介していく。
2006年 中日 宮崎駿デザインぬいぐるみ
2006年のGOY(Goods Of the Year。1年間の12球団ファンクラブ特典グッズの中で、もっとも優れた逸品を長谷川氏が独断と偏見で選んで表彰する。読み方は「ゴイ」)に選ばれたグッズ。
「スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが中日ファンという縁で実現した夢のマスコット。デザインはもちろん宮崎駿監督。07年に公募で『ガブリ』という名前まで決まり、華々しくデビューするもいつのまにか自然消滅。いくら人気者ドアラがいるとはいえ、あまりにもったいない。チームが低迷する今こそ復活するべきでは?」(長谷川氏。以下、同)
2009年 広島 “カオシマ”ユニフォーム
2009年、GOYに選出。ファンクラブマニアの間では半ば伝説化している一着。
「ホームとビジターを掛け合わせた革新的なデザインで、胸の『Caoshima(カオシマ)』も違和感がない。古い話ですけど、『マジンガーZ』のあしゅら男爵を彷彿とさせます。
僕が方々で絶賛しているからかはわかりませんが、中古市場で値段が高騰しています(笑)。他球団も追随してほしいところだけど、今のところフォロワーは西武が2022年につくった『Liibu』ユニのみ。他球団もぜひ!」