「金太郎、不正を暴く。」(集英社文庫・コミック版5巻収録)
「360円差」で負け……そのからくりとは――
『サラリーマン金太郎』第45話は、河北市の市民ホール増改築工事をめぐる入札で、ついに“不正の決定的証拠”が飛び出す回だ。
前話では、ヤマト建設が河北市にはびこる談合の空気をぶち壊し、入札会場はただならぬ緊張感に包まれていた。迎えた45話、ヤマト建設が出した金額は「3億1126万9860円」。最低価格を割れば失格という条件の中で、ほとんど限界ギリギリの数字である。会場の誰もが、「これはヤマトが取った」と思ったはずだ。
ところが最後に読み上げられた柴幡工務店の金額は、なんとそこからわずか360円だけ低い「3億1126万9500円」。あまりに出来すぎた数字に、会場は騒然となる。
「なんかおかしい」……そう踏んだ金太郎は、入札書を見せろと市役所の担当者に詰め寄り、ついには乱闘の末に書類を奪い取る。
そこで明らかになったのが、まさかの事実だった。柴幡工務店の入札書は、金額が書かれていない“白紙”だったのである。
つまり柴幡側は最初から勝負をしていなかった。他社の金額が全部出そろったあとで、いちばん低い額よりさらに少しだけ下の数字を担当者に口頭で発表させる。これなら、どんな入札でも勝ててしまう。もちろんこんな手口は、役所と会社がずぶずぶだからこそ成立する行為である。
談合どころではない。入札そのものが、最初からインチキだったのだ。
不正は表に出て週刊誌でも報じられるが、その裏ではなお大物たちが火消しに動き出す。ヤマト建設と北東総建の戦いは、ここからさらに大きな局面へと進んでいく。























