更生プログラムの内容とは

だからといって許される行為では決してない。なぜ、小学生の子ども相手に興奮するのか。その辺りの心情を聞くとこう述べた。

「私は女児の丸みを帯びた体形や愛らしい顔、たとえばマンホールを見て『お月様みたい』と言ってしまう感性にグッときてしまうんです」

しかし、Aさんは2度も事件を犯し逮捕されている。罪の意識はないのか。

クリニックの更生プログラム
クリニックの更生プログラム

「もちろん小児性愛者が問題行動をした場合は罰せられる自覚はありましたが、いかにそういう行為を実現できるかに関心がありました。でも、2度目の罪で起訴されて懲役1年執行猶予4年の刑に処されたとき、弁護士から『治療しなさい』と言われました。その後、クリニックに週1で通うなかで、それが認知の歪みであることを自覚し、その歪みとうまく付き合うための治療をしているところです」

いったいどんな治療をしているのか。

「毎週1回、同居中の79歳の母がデイケアサービスに行く間の8時50分から18時55分まで更生プログラムを受けていて、性犯罪、ギャンブル、アルコールなどの依存症の方と一緒に卓球やボクシング、和太鼓など主に体を動かしています。ただ遊んでるわけではなく、体を動かし汗をかくことで依存対象から離れることが目的です。ほかに写経したり、芸術行動療法といって絵を描いたり音楽を聴くこともあります」

更生プログラムの一環で書いた写経
更生プログラムの一環で書いた写経

 参加者で円を描くように椅子に座ってトークセッションする時間もあるという。

「『こんなときにスリップ(依存行為を再発すること)しそうになりました』などのテーマをもとに挙手して話をすることもあります。発言者の言葉にただ耳を傾ける回もあれば、否定をしない意見交換を行なうこともあります。依存治療には仲間が必要だと言われており、自分の認知の歪みにまずは気づき、他人と関わることで認知が歪んだ部分をならしていき平均化していくというのが目的です」