一生付き合っていく病気と言われ…
クリニックに通ってから4年目になるというAさん。その治療は進んでいる自覚はあるのか。
「通院以外にも毎日『一行日記』を書くことも勧められており、そのノートの1枚目に自分の問題行動の“引き金”と、自分を船にたとえて、危ない方向へ行かせないための“いかりの綱”を書いています。私の引き金は小児性愛に関係する画像や動画であり、それらを探す行為を30分以上続けることがいかりの綱なので、それをしないことを心に留めて毎日を生きています」
Aさんは児童ポルノ提供罪とわいせつ物陳列罪などの罪で未だ執行猶予中の身。たとえ30分であれ、小児性愛に関する動画や画像を探すこと自体が問題なのではないか。
「私がクリニックに行った際、精神科医の先生からは『小児性愛障害は依存症の一種で治らない。いかに問題行動を出さないようにするか一生付き合っていく必要がある』と言われました。私も治らないだろうなとは自覚していたので腑に落ちました。今後は30分と決めている動画や画像を探す時間を20分、10分、5分と少なくしていくことが目標です」
一方で、Aさんは「小児性愛障害による性犯罪をなくすには我々の性質を知ることも大事だ」と言う。
「私のように小児性愛障害が認知の歪みだと自覚していない人もいるし、そういう人は子どもにわいせつ行為をするためにあらゆる手を使い手荒な行動を取ることさえある。この病気を身近な問題として知ることから始め、議論を重ねてほしいと思う」
身勝手な欲望のために子どもの心身だけでなく、その将来まで破壊してしまう性暴力は決して許されることではない。「病気」ということで処理していい問題でも決してないだろう。子どもたちが安心して暮らせる社会を築くためにも、このような更生プログラムが広く知られ、受ける人が増えることを願わざるをえない。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班