序盤は涼しい顔の小池知事だったが…

知事選には56人が立候補している。全員が参加すれば討論にならないとみられ、主催した日本青年会議所が、これまでに首長や国会議員を経験したか過去の選挙で供託金を没収されなかった人に参加を絞ると4人になった。

討論の序盤、蓮舫氏が「東京は夢をかなえられる場所だと思っています。でも残念ながら、確かに手取りは47都道府県のうち3位なんですけど、そこから光熱費や家賃などを引いたら実は(残りは)ワースト1。ここをもう少し増やして差し上げる」と、東京の暮らしにくさを指摘。

それに対し、直後に順番が回った小池氏は「東京の魅力、それは、日本人は逆によく理解していない部分だと思います。こんなに安全で安心な街はありません」と完全スルー。

すると蓮舫氏は「予算が適正に使われているのか情報が公開されておらずわからない」と2発目のジャブを繰り出すが、これにも小池氏は「(都政を)今度バージョンアップさせて『東京大改革3.0』で進めていきたいと考えております。よろしくお願いします」と涼しい顔で受け流した。

涼しい顔で政策をアピールする小池知事
涼しい顔で政策をアピールする小池知事
すべての画像を見る

 この空気を変えたのが石丸氏だ。神宮外苑の再開発に反対する蓮舫氏が小池氏に「まさか再開発の事業者から都知事はパーティーのチケットの購入とか受けてませんよね?」と切り込んだ時、小池氏は「パーティーの開催につきましてはそれぞれ法律に則った形で公表をさせていただいているところでございます」と、言質を取らせない“政治家話法”で応答。

蓮舫氏はこの小池氏の返答で引き下がり、話題は次へ移るかと思われた。ところがここで石丸氏が挙手し「今の蓮舫さんの質問にはイエスかノーかで答えられる。もう一度お願いします」と、隣の小池氏に直球を投げ込んだ。

石丸氏の突っ込みに小池氏困惑

虚をつかれた小池氏は「はい、あのー」と言い出しに時間をかけながらも「私はこれまで政治のパーティーという形で開かせていただいております。その中にはさまざまな方々からご意見をうかがうと同時にご協力もいただいている、そしてそれは法に則って進めているということでございます」となんとか返答。再開発事業者がパー券を買っていることを認めないが否定もしない、との態度が鮮明になる。

そこを司会者がさらに「どっちかというと、それはイエスってことですか?」と詰め、イエスともノーとも決して言わない小池氏は「さまざまな方にご協力いただいております」と、同じことをさらに短く言って不快感を隠さなくなった。

石丸氏のツッコミに不快感を隠さない小池氏
石丸氏のツッコミに不快感を隠さない小池氏

石丸氏は自分と同じ新人候補を相手にするより絶対王者、小池氏との対比を見せつけた方がいいと計算した模様で、さらに小池氏に迫る。築地市場の豊洲への移転を挙げ、「小池さんは『築地は守る。豊洲は生かす』というお話があったかと思いますが、この4年間で、築地に対してどのような思いをはせてらっしゃったのか。純然たる興味で聞いております」とボールを投げる。

「築地については食文化、必ず生かしてまいります。何も変わっておりません」と応じた小池氏に石丸氏が「築地は『生かす』の方に変わったんですか?」とさらに聞き、「生かすことは当然のことでございます」と禅問答のような応酬に。

ここで、横で聞いていた田母神氏が論争に分け入ってくる。