田母神氏の言う「戦前保守」と「戦後保守」の違い
「小林先生と話して、いま日本は保守が大同団結するときではないかと思ってですね、小林先生に『立候補やめて、私を応援してくれませんか』という話を持ち掛けて、一応ご理解をいただいたという状況であります」
東京・築地の事務所で小林氏と並んで始めた会見で、田母神氏は開口一番、小林氏が候補者一本化要請を受け入れたと明らかにした。
「私は伝統的保守主義者。戦前の日本にはいいとこいっぱいありました。これが全部戦争によってつぶされた。昔のいいところを取り戻し、国家を自立させようという保守ですね。
これに対し戦後保守の人たち、アメリカにつくられた戦後の状態を維持したいという人たちですね。そういう人たちは現体制によって利益を得ているから、昔に戻りたくないと思っている」(田母神氏)
米国式の民主主義に乗る保守と自分は違うと強調した田母神は、「(小林氏には出馬を)やめてもらうか、ということを無理やりお願いしたということであります」と述べ、笑顔を見せた。
ここでマイクを受けた小林氏は、小池氏への非難で口火を切った。
「絶対に政治をやってもらっては困るという人がいる。現職で一番日本国民に悪いことをした政治家はだれか、それは小池百合子なんですよ。若い人は知らないんですよ。
だけど彼女、何したんですか。郵政民営化! 日本を滅ぼす政策をね。世界で民営化してるとこなんかないんですから。消防や警察を民営化してますか? してないでしょ。郵便だってね、絶対民営化なんてできない」(小林氏)
若い人にはピンとこないかもしれないが、郵政民営化とは国営事業で郵便局が行なっていた郵便と簡易保険(かんぽ)、郵便貯金(ゆうちょ)の3事業を民営化し、私企業の事業に転換させたものだ。
「小さな政府」を志向した小泉純一郎内閣が推進したが、金融サービスなどを郵便局にしか頼れない地方の農村部を地盤とする議員が多い自民党からも猛烈な反発を呼び、関連法案は2005年7月に衆院で可決されたが翌8月には参院で否決された。
これで当時の小泉首相は民営化の賛否を問うとして衆議院を解散。小泉執行部は総選挙で法案に反対した議員に党公認を出さず、「刺客」と呼ばれた対立候補を同じ選挙区に送り込んだ。
結果は小泉人気を背景に各地で民営化反対派が続々と刺客に敗れ、自民党が圧勝。法案は同年10月に成立し、現在の郵便事業につながっている。