ウクライナとロシアのSNS運用の違い
SNSによるウクライナ側の情報の発信は、ナラティブを世界に伝え、国際世論を味方にするうえでも大きな役割を果たしています。
ロシアのウクライナ侵攻直後、ゼレンスキー大統領が自国を捨てて逃げたとするロシア側の発表に対して、ゼレンスキー大統領は、SNS上ですぐさま反応し、「私たちはここにいる」と主要閣僚とともに、キーウから動画を発信しました。
このことは、ウクライナ国民の愛国心を高揚させ、国際社会によるウクライナへの支援を取りつけました。ウクライナ人から発信されている写真や動画情報は極めて多く、それらは地域におけるロシア軍の残虐な行為を世界に知らしめるとともに、地域住民がロシア軍の動向に関する情報を軍に提供する役割も果たしています。
これまでも戦場の様子などがSNS上に流れることはありましたが、このような意図的な行動はありませんでした。これは、戦場がウクライナ国内であり、一般市民がスマートフォンなどで撮影した画像をSNSに気軽に投稿することができる環境が整っていることも理由の一つでしょう。
ただし、このような市民による行為は、ロシア側にとっては、いわばスパイ行為であり、このことが、ロシア側が地域住民を逮捕して拷問などを行なっている行為につながっている可能性もあります。