SNS投稿を全面禁止したロシア軍

ウクライナ側がSNSを多用する一方で、侵攻したロシア軍の兵士からと思われるSNSへの投稿はあまり見られません。兵士の投稿を厳しく規制しているからです。ロシア軍で、このような規制が徹底されたのは、2014年のロシアによるクリミア併合の教訓によるものです。

2014年当時は、クリミアでは「リトル・グリーンマン」と称される徽章をつけていない覆面の武装集団が主要施設を次々と占拠していきました。ロシアはハイブリッド戦の一環として、親ロシア派の集団がウクライナ政府に反旗を翻してそのような行動をとっていることにしたかったのです。

しかし、これらの兵士の中には、スマホで自撮りしてSNSに投稿する者がいました。そのため、それらの写真からリトル・グリーンマンの中にロシア軍の現役の兵士が含まれることが次第に判明し、ロシアの工作活動の実態が明らかになりました。その教訓から、ロシア軍ではスマホの使用に制限が設けられました。

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2019年2月には、その制限がさらに厳しくなり、兵士の軍務中におけるスマートフォンやタブレットの使用禁止、軍に関する話題をSNSへ投稿したり軍の話題をジャーナリストに話したりすることなどが禁止される法律が策定されました。さらにこのような情報統制は一般人にも拡大しています。このようにウクライナとは対照的にロシアはSNSを活用するよりも情報を統制する方法をとっています。

国民には情報を統制する一方で、プーチン大統領は自らメディアに向け発信したり、『RT』や『スプートニク』といったメディアの活用、IRA(インターネット・リサーチ・エージェンシー)といった民間会社による偽情報の作成により、ナラティブを発信・拡散しています。