拡大する子ども向け小説の読者層
集英社みらい文庫は『鬼滅の刃』『呪術廻戦』などの有名マンガや映画ノベライズ、『絶望鬼ごっこ』(シリーズ累計88万部)『生き残りゲーム ラストサバイバル』(累計36万部)などのデスゲーム/ホラー系の作品が話題を集めてきたが、近年では恋愛系の作品の人気が高まっている。
【みらい文庫の恋愛系作品一例】
『渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない』(既刊13冊 累計43万部)
『キミと、いつか。』(15巻完結・累計38万部)
『青星学園 チームEYE-Sの事件ノート』(既刊14冊累計30万部)
『海色ダイアリー』(既刊7冊累計27万部)
『霧島くんは普通じゃない』(既刊5冊累計18万部)
※部数は6月6日現在
レーベルの男子向け女子向けの刊行比率は4:6から5:5だが、読者数は圧倒的に女子が多い。読者の年齢は小学4~中学1年生がメインとなっている。
「最近では以前よりも少し上(中高生)まで読者が広がっています。カバーや挿絵のイラストも子どもっぽさをやや控えるようになり、中学生も読んでくれるようになったことで、部数が伸びている面もあると思います」(鈴木秀幸編集長)
みらい文庫の恋愛系作品のキャラクターは中学1年生という設定が多い。読者層が広がったことで、読者の好みのキャラクターデザインの傾向も変化している。これまでは頭を少し大きく描く頭身で、幼い印象を与えていたが、最近では少女マンガに登場する「女子高生」のような、頭身は高めで少し大人びたおしゃれな服装が好まれるという。
「読者が好きな頭身は、顏は中1らしい丸くてかわいい系、身体は手足細めのスラっと系、というものです。キャラデザは非常に重要なポイントなのでイラストレーターさんにこだわって描いていただいています」(岩井未央子副編集長)
また、みらい文庫の恋愛系作品ではカバーイラストのキャラクターだけでなく背景もこだわって作り込んでいるという。
「一枚の絵から物語が感じられるように、夕暮れの放課後など、背景と一体となった細やかなシチュエーションを大事にしています。読者には、鮮やかな色彩の美しいイラストが人気ですね。イラストレーターさんはレイヤーをいくつも重ねたりと、発光の表現にもこだわってくださっています」(岩井副編集長)。