みらい文庫読者に見る小中高生の特徴

みらい文庫のホームページは出版社が運営する子ども向け書籍のサイトとしては閲覧数が多い。人気の理由は、作品別に読者が感想を書き込めること。作品によっては数百件の感想が届く。読者同士の掲示板としても機能するほど、頻繁に訪れる熱心な読者が多いという。

「『鬼滅の刃』をはじめとするノベライズ作品には『初めて小説を買いました』とか『本を読むきっかけになりました』という読者も多いですが、オリジナル作品は熱心なヘビーユーザーが支えてくれていると感じています。

熱心に小説を読んでくれる読書家な子どもたちなので大人っぽい感性を持っていますし、みなさん学校の成績もいい子が多いのかなという印象です。書き込まれるコメントも気が利いていておもしろいんですよ。ですから、作家さんにも『“子ども向け”と思って変に手加減しなくていいですよ』と言っています」(鈴木編集長)

2021年からスタートしたLINEでの配信も、カバーイラストのラフや色違いのデザイン案などコアなファンに喜んでもらえる情報を発信し、順調に「友だち」(登録者)を増やしている。これまで「小学生はSNSをやらないからTwitterなどで発信しても届かない」と言われていたが、今では小学校高学年から中学入学の時期にスマホを持つ子が多く、公式サイトやLINEからの情報も十分届くという手応えを感じているという。

「ファンレターもたくさん届くのですが、マンガ、アニメがこれだけ流行っているなか、児童文庫についても友だち同士の楽しい話題の一つにしてくれているのをひしひしと感じます。昔は本が好きであることに『オタクっぽい』とかネガティブなイメージもあったかもしれませんが、今は本が好きなことはかっこいいことになっていると感じています。

マンガでもアニメでも本でも、好きなものがあるということはかっこいいことですよね。『自分も将来作家になりたい』『こんな絵を描きたい』という読者も多く、作品に対する『好き!』という気持ちがキラキラ輝いて見えます」(岩井副編集長)

2021年の学校読書調査によれば小学生の1か月の平均読書冊数は12.7冊、中学生は5.3冊。過去半世紀の中で今の小中学生が最も本をたくさん読んでいる。

この大量の読書をした世代が作り手に回ったときにどんな物語が生まれるのかが今から楽しみである。

また、こうした目の肥えた読者を熱狂させる作品がおもしろくないわけがない。
児童文庫の変化、みらい文庫の進化には、大人にも注目してもらいたい。

取材・文/飯田一史