ヒット作『霧島くんは普通じゃない』は児童文庫として普通じゃない!?

2020年10月に第1弾が刊行された麻井深雪作『霧島くんは普通じゃない』は近年スタートした児童文庫の恋愛系作品の中では、異例のスピードで売り上げを伸ばしている。そして、内容も異色のものなのだという。

主人公の日向美羽の通う中学校に、霧島セイ、レン、コウのイケメン3兄弟が転校してくるが、この3人が実はヴァンパイアで、人間を魅了する能力や高速移動する力を持ち、血を吸うという設定。今の児童文庫でファンタジー作品のヒットは非常に珍しいことだという。

女子向け恋愛ものではめずらしいファンタジー設定のヒット作(『霧島くんは普通じゃない』より)©麻井深雪・那流/集英社
女子向け恋愛ものではめずらしいファンタジー設定のヒット作(『霧島くんは普通じゃない』より)©麻井深雪・那流/集英社

「『霧島くん』は、みらい文庫の女子向け作品の中では久しぶりとなるファンタジー作品です。作家の麻井先生はかっこいい男の子キャラを描くのがとてもお上手なのですが、ヴァンパイアの男の子たちの人間にはない魅力、躍動感のあるアクションなどが読者にとって新鮮なのだと思います。【特別な血】の持ち主である主人公・美羽をめぐる恋模様も見逃せません。ヴァンパイアと人間の異文化交流も読んでいて楽しいポイントだと思います」(岩井副編集長)

ヴァンパイア同士の争いは異能バトルとしても楽しまれており、徐々に男子読者も増えているという。