「ペットも大事な家族の一員ですから」
慣れない避難所生活は、人間だけでなくペットにもストレスを強いる。避難所でのペット事情について坂さんはこう解説する。
「ペットも大事な家族の一員ですから、ワンちゃんやネコちゃんと一緒に避難される方もいます。それこそ昨日までいたワンちゃんは、最初は廊下に繋いでいたのですが、夜になると飼い主さんがいなくて寂しいのか『くぅーんくぅーん』と鳴きだしまして...。
そこで飼い主さんが室内まで連れていき抱きかかえることで鳴き止んだので、それからは『うるさくなければペット持ち込み可』みたいな流れになったのですが、とくにルールは決まってません。もちろん同じ部屋に動物が苦手な方がいる場合はペットを持ち込むのは難しいでしょうし、どこの避難所もしっかりと対応できていないのが現状ではないでしょうか」
マルチーズとポメラニアンとトイプードルのミックス犬「マル」(メス・7才)と一緒に避難している女性はこう語る。
「今回の地震で自宅は相当傷んでしまって、いつ余震がきて倒壊するかもわかりません。ましてや電気も通らない今、避難所で暮らすしかないのでマルちゃんを連れてきたのですが、室内で飼ってもいいとのことで本当に安心しています。ちょうど今日、市役所からこの避難所に移ってきたのですが、見知らぬ人に囲まれているにもかかわらず吠えたりしないので、この子が大人しい子でよかったとホッとしています。別の避難所では、うるさいワンちゃんは室内に入れてもらえないとも聞いていたので...」
市役所から500メートルほど離れた珠洲市立飯田小学校に開設された避難所は、大型のペットは室内には入れないという。ラブラドールレトリバーの「メイ」(オス・5才)も玄関付近で生活することを余儀なくされ、飼い主の女性はこう肩を落とした。
「この避難所は原則として室内に入れるのは小型犬やネコちゃんまで。大型犬は玄関付近までしか入れないので、夜はここにストーブを置かせてもらい、旦那と私とメイの3人で寝泊まりしています。震災当初はこの避難所にも計5~6匹の大型犬がいたのですが、やはり玄関付近で一夜を過ごすのはかなり寒いので、金沢のペットホテルに預けに行かれた方も多く、今ではウチの子と合わせて2匹しかいません。
今回の地震で、飼っていたネコちゃんが行方不明になってしまったという話も耳にするので、まだウチはラッキーとは思いますが、可能であれば大型犬専用の部屋を作ってほしい気持ちはありますね」