プロパーのジャーナリストにできないことを発信したい

――今後も報道の仕事を続けていくうえで、須賀川さんが考えていることはありますか?

さきほどの話とやや矛盾しますが、見てもらってなんぼという点では、例えば、激しい映像や強い証言が入り口になることもありだと思うんです。いい記事を書いた、いいドキュメンタリーを作ったといっても、見てもらえなければ自己満足ですから。

僕で言うと『クレイジージャーニー』に出させてもらったり、XやYouTubeでフランクに発信をしていきながら、多くの人に見てもらう機会を増やせたらなと思っています。

そういう意味では、もっと真ん中を歩いているプロパーのジャーナリストたちからすると、「なんだあいつ」と思われている可能性もあるんですよね。でも、僕にとってそれはまったくどうでもいいことで、そういう人たちにできないことを自分はやっていると思っています。

ガザ境界近くの町スデロットからみる、ガザ北部の空爆
ガザ境界近くの町スデロットからみる、ガザ北部の空爆

――それだけ、自分の仕事に自信を持っているんですね。

どちらかというと、目標が明確というところですかね。難民支援と紛争の早期解決につながるのであれば、その過程や形はどうでもいい。紛争をなくすことは絶対にできませんが、少なくともいまある戦争を、少しでも早く終わらせることができればなと思いながらやっています。

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《前編》バラバラ遺体の過激な映像を流せば関心を引けるのか…イスラエル-パレスチナ戦争への日本の「無関心」と戦うTBS戦場記者の葛藤

ウクライナ取材 南部ミコライウに撃ち込まれたクラスター弾の残骸
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取材・文/森野広明 撮影/村上庄吾