月々の利用客はわずか10人
──小西さんが運営している障がい者専門の風俗店では、利用前に1時間3000円のカウンセリングを設けているそうですね。一般的な風俗店にはない制度かと思いますが、一体なぜですか?
小西理恵(以下同) 障がいをお持ちの方だと、性風俗の利用経験や異性との関わりが薄い傾向にあり、利用に対しての不安や恐怖も大きい傾向にあります。
なので事前に利用意向があるのか、具体的にどんなプレイをしたいのか、カウンセリングですり合わせして懸念を取り除く必要があります。
あるいは重度の知的障がいの方で、家族から依頼をいただいた場合、周辺の方々にもプレイ内容を納得してもらう必要があります。
もちろん、息子さんに性風俗のサービスを施すことに対して、過敏になるお母さまは多いです。「息子が性的なことを覚えたら、のめり込んで暴走するのでは」と敬遠されるのです。
お母さまからすれば長年、介護してきた息子を、他人に施してもらうことに抵抗を持つのは当然です。利用者の大半に満足していただいている自負があるとはいえ、第三者が家族の関係に踏み込んで、一方的に利用を勧めることはできません。
──そのあたりは当然、慎重にならざるを得ないですよね。
もっと直接的なことで言えば、お値段の兼ね合いもあります。我々のサービスは、公的な支援を受けられないため、価格帯は一般的なデリバリーヘルスと近い60分18000円となります。
利用者の方に生活状況を聞くと、多くは一般企業の障がい者枠で雇用されていたり、就労継続支援B型で働いていたり、生活保護を受けている方が大半なので、金銭的負担は小さくないはずです。実際に、我々の性風俗を利用する方は月10人程度。利用頻度が年1回というリピーターの方もいます。
だからこそ貴重な機会を無駄にしてほしくない。そうした想いからもカウンセリングを設けています。事前に、収入など金銭面の確認をしつつ、プレイではどんな服装や下着を身につけてほしいか、どんな設定のプレイをしたいかなど、赤裸々な内容にも踏み込んでいきます。