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#2 「妊娠9か月で出産への不安がつのるパレスチナ人女性の悲痛な叫び」のつづき
ガザでは陣痛が始まっても受け入れる病院が
パレスチナのイスラム主義組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まってから、約1か月が経った。
双方の当局の発表によると、その死者数は合わせて1万2000人(11月10日時点)を上回り、大半がガザ地区に住むパレスチナ人の女性や子どもたちとされている。また、これまでに21万2000戸あまりの住居が破壊され、約150万人が避難を余儀なくされている。
ガザ地区北部での戦闘激化を受け、多くのパレスチナ住民は同地区の南部で避難生活を送っている。だが水や電気の供給は止められたままで、食糧の調達も安定しない。爆撃の恐怖に加え、衛生環境の醜悪化にも悩まされている。
そんな中、ガザ南部で避難生活を送る女性から心温まるニュースが届いた。先月末、不安な避難生活についての思いを語った妊娠9か月のイスラさん(33歳)が次女となる赤ちゃんを無事出産したという。毎日ガザ地区で多くの命が奪われるなかで、ひとりの命の誕生はともに住む多くの人に希望をもたらした。今も避難先で爆撃の恐怖に怯える日々だが、母子ともに健康だと伝えてくれた。
10月30日、イスラさんはひどい陣痛で目が覚めた。「赤ちゃんが産まれるかも」と母に伝え、しばらく家で休んでいたものの、痛みが増したことから最寄りの病院へ駆け込んだという。
だがこの病院は、空爆などで重傷を負った救急患者の治療に専念しており、それ以外の患者は受け入れていなかった。代わりに、少し離れた産婦人科病院へ行くことになった。
病院内には分娩室が2室あり、待合室には多くの女性がいたという。イスラさんは検査を受けた後、分娩室に入った。赤ちゃんが産まれてきたのは、それから約3時間後だった。
「泣き声を聞いたとき、『ああ、赤ちゃんも私も生きている』と大きな安堵感に包まれました。医師にも、そして神様にも心から感謝しました」