「僕ら野球下手くそだから…」

――社会人野球で学んだことって何ですか?

たくさんあるんですが、特にコロナ禍のときに無観客で試合をしたときのことを憶えています。無観客だと、あんまり燃えなかったんですね。ふだん応援してくださっているみなさんがいるからこそ力を発揮できてたんだなと思い知らされました。社会人野球でも会社の方がすごく応援してくださってて、投げてて本当に楽しかったし、うれしかったんですよ。

やっぱりお金をいただいて野球をするのは社会人野球が初めてで、その責任感はありました。日本生命は特に朝から野球に集中できる環境でさせてもらってて、その上で職員さんと同じ給料をもらっていたんです。そういう「責任感」は社会人時代に学びました。

「僕ら野球下手くそだから」オリックス阿部翔太がファンの応援があってこその野球と思い知った社会人野球時代のある試合_3

――そうした経験があるからファンをとても大切にされているんですね。

社会人上がりなので、プロにきたからといって「プロ野球選手」感みたいなのをあんまり出したくないというか、あんまり特別やと思ってないです。普通に居酒屋とかいきますし、「こんなとこいるんですね」って言われるけど、まったく気にしません。街中で声をかけられたら普通に一緒に写真も撮ったりします。

ファンの方のありがたみを感じてますし、応援してもらって当たり前じゃないので。応援してくださる方々がいなかったらプロ野球って成り立たないと思っています。

©ORIX Buffaloes
©ORIX Buffaloes

――阿部選手はファンとの距離が近いですよね。

たしかに夢を与えるスポーツ、職業なので、あまり近すぎてもよくないところがあることもわかっています。でも、それはたぶんすごいスター選手がそうであって、社会人6年もやって28歳でなんとかプロ入りした僕みたいな選手はすごくないんですよ。野球が本当に上手かったらもっと早くプロに入ってるはずなんで、(同じ社会人野球出身の)比嘉(幹貴)さんと2人で「僕ら野球下手くそだから(笑)」ってよく話しています。

すごいプロ野球選手はたくさんいますけど、僕はそこじゃないと思ってるので。いいのか悪いのかわからないんですけど、あんまりエラそうになったりしないように普通にやっています。