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#6 「こんなオリ姫見たことない」。阪神1300人、オリックス100人という人気“格差”の裏で息づくオリックスファンの絆
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「アホやから、なめられてるだけです(笑)」
「去年に比べたら成績も落ちたんですが、しっかりと評価していただいた」
インタビュー当日、契約更改直後にあらわれた阿部翔太の顔は晴れやかだった。3年前、28歳でプロ入りした男はこの日、推定年俸6000万円で契約更改。初年度から約8倍の昇給を手にして、プロ野球選手になる夢だけでなく、プロ野球選手として活躍する夢もつかんだ。
リーグ3連覇したオリックスの不動のセットアッパー。
阿部翔太を一言で評すると、そんな選手だ。だけど、それだけではあらわせない魅力がこの選手にはある。チームメイトやファンからも愛されキャラで、10歳下の同期入団の選手たちからもイジられる。
「なめられてるだけです(笑)。アホやから年上やけどイジっても大丈夫やと思われてるんですよ」
阿部は屈託のない笑顔でそう話すが、とにかくファン思いでファンを大切にする姿勢を見ていると、それが愛嬌だけではなく、28歳妻子持ちでプロ入りを決断した選手としてのプロ意識の高さと感じられる。
日本シリーズ敗退直後の集英社オンライン記事へのSNSへの反応もそのひとつだった。
“オリックスファンの皆さん見て下さい!もちろん阪神の応援も凄かった!でも本当にオリックスの応援も凄かったし心強かったです!人数じゃない!『日本一』の応援です 最後まで応援ありがとうございました #オリックスバファローズ #バファエール”(阿部翔太Twitterより)
「僕もあの記事がうれしかったんですよ。本当に思ったことやったんで。オリックスファンの声援も鳥肌が立つくらい聞こえてましから」
いまだに記憶に残る日本シリーズの激闘からちょうど1か月が経ったこの日、そんな話からインタビューは始まった。