楽しみな若手が多すぎるオリックス
2023年、オリックス・バファローズは86勝53敗4分、勝率.619を記録し、2位のロッテに15.5ゲーム差をつけてパ・リーグ3連覇を達成した。
今季は球団名が「阪急ブレーブス」だった1975~1978年以来となるリーグ4連覇を目指すシーズンになる。
しかし昨シーズンオフ、3年連続投手四冠、沢村賞、MVPの絶対的エース・山本由伸がメジャーリーグへと移籍。さらには11勝をあげた山﨑福也も国内FAで日本ハムへと流出した。
普通に考えれば、この2投手が抜けた“穴”は大きすぎる。勝ち星だけなら2人合わせて27勝、これは昨季チーム勝利数の31.4パーセントにあたる。投球イニング数で見ても合計で294回1/3。これもチーム総イニング数(1290回)の22.8パーセントに該当する。いくらリーグ3連覇中のチームとはいえ、これほどの戦力流出は本来であれば“緊急事態”といっていい。
しかし、なぜだろう。今季のオリックスには、そんな悲壮感や焦燥感がまったくない。事実、開幕を直前に控え、各メディアが発表する今季の順位予想でも、多くの野球評論家がオリックスを「優勝候補」に挙げている。
理由は、いくつかある。ひとつは自チーム投手陣への圧倒的な信頼だ。たしかに、山本、山﨑両投手の抜けた穴は大きい。しかし、今のオリックスにはその穴を埋められるだけの投手が揃っている。
昨季10勝の宮城大弥や、さらなる飛躍が期待される昨季の新人王・山下舜平大らがその筆頭格だが、彼らはまだ20代前半と若く、山本・山﨑2人の抜けた“穴”をそのまま補完することは難しい。しかし、昨季は事実上、一軍戦力になり得なかった投手の中にもネクストブレイク候補は大勢いる。
高卒2年目の齋藤響介や、10試合登板に終わった2022年ドラフト1位の曽谷龍平、育成選手の佐藤一磨、川瀬堅斗、才木海翔も大化けする可能性を秘めた大器たちだ。また、ドラフトで指名した社会人ルーキー、高島泰都、古田島成龍、権田琉成のTKGトリオもいる。