激安ニッポン#1

財布に優しい国「ジャパン」

実は、外国の人々は日本人以上に「日本の激安さ」に気がついています。
彼らは日本をお得に買い物ができる国とみなし、「日本を買う」ために大挙して押し寄せているのです。
日本が安いのは、ホテルの宿泊費や飲食費だけではありません。たとえば、多くの外国人が買っているのが「不動産」です。

日本のみなさんにはあまり実感がないかもしれませんが、海外の人は自国以外の不動産も投資目的や居住目的で買っています。
特に中流階級以上の人だと、余剰資金を貯金や株式投資に回すのではなく、海外の不動産を買っています。
たとえば、これを非常に盛んにやっているのが北米や欧州北部の人々です。こういった国々の不動産というのは日本に比べて寿命が長いので、中古の不動産を買い、それを賃貸に出して家賃をもらい、将来的にそれを転売して老後資金にすることが割と一般的です。

また、子どもが進学する際に大学の近くの不動産を買い、在学中は子どもに住んでもらい、卒業後は他の学生さんに貸し出して賃料を得て、子どもの独立用の資金にしたりします。

日本の感覚だとずいぶんリスクの高くて面倒くさいことをやるなという感じですが、なぜ、これらの国で不動産投資がめずらしくないかと言うと、中古でも不動産の値段がどんどん上がっているからです。

海外の多くの国では、日本と違って新築の家を建てる規制が厳しいので、家の数があまり増えません。なので、中古の不動産を買って住む人が大半になるので、中古の不動産取引が活発なのです。
また、アメリカは木造の家が多いのですが、乾燥しているので、湿気の多い日本よりは家が劣化しません。また、家の構造も日本よりは単純ですから修理がしやすかったり、持ち主が変わってもそのまま住みやすかったりします。

欧州北部の場合は、家の構造が日本とはまったく違い、石やレンガを積み上げることで骨組みができています。

こういう骨組みの上に漆喰を塗り、床には腐食しにくい分厚い木材をはります。なので、何十年どころか何百年ももつという家もあります。
一方、日本だと、特に戦後急ピッチで建てられた木造の家屋は、安い木材が使われていることが多く、30年もすると大幅な修繕が必要になります。屋根が剥がれてきたり床が抜け落ちたりするので、修繕費に数十万円から数百万円かかることがめずらしくありません。

修繕だけで済めばよいですが、建て替えが必要になってしまうこともあり、その場合は数千万円の費用がかかります。

北米や欧州の家というのは“消費期限”が短い日本の家のつくりとはまったく違うので、中古市場が活発になるわけです。

彼らは不動産を投資のポートフォリオの一部に考えるので、海外のよさそうな物件もよく見ています。投資価値があると思うものは積極的に購入して自分の資産にするわけです。

中国だけじゃない! 発展途上国にも狙われる日本の不動産はなぜ買われ放題になっているのか? 外国人が不動産購入する条件が“ゆるい”という日本の現実_1
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