家も土地も“無制限に”買い放題

先進国も発展途上国も海外の不動産を求めていますが、それではなぜ、数ある国の中で日本の不動産を買うのでしょうか。彼らが日本の不動産を買う理由の一つは、規制が他の国に比べてかなり緩いことです。日本では基本的に、外国人が不動産を売買することや所有することに関して禁止事項がほとんどなく、日本人と同じように売り買いができます。

なぜ、そうなっているかというと、日本は土地や建物の売買・所有に関しては自由主義の立場を取ってきたからです。売買も所有も自由にしておけば、日本の土地や建物に投資したい外国人も活発に取引を行ってくれます。
たとえば、外国企業が日本に工場やショッピングモールをつくったり、外国人が投資用にマンションを購入したりしてくれれば、日本経済にとってはメリットがあります。

日本は1994年に「GATS(General Agreement on Trade in Services :サービス貿易に関する一般協定)」という国際協定に参加しています。これは「世界貿易機関を設立するマラケッシュ協定(WTO協定)」の一部で、簡単に言うと、参加国では規制を少なくし、自由に取引をできるようにしましょうという決まりです。

この協定では「日本人と外国人の待遇に格差を設けてはならない」となっています。
協定を結んだときに日本政府が土地と建物には不適応とすればよかったのですが、外国からお金を集めることを優先したのでそうはしなかったのです。

なので日本では、他の国のように外国人が土地や建物を買う場合、 
・国籍や永住権を持っているか?
・日本に実際に住んでいるか?
・日本で実際にビジネスをやっているか?
などといった条件がないわけです。

外国人が日本で不動産を買うときには、日本人が買うときと同様に登記します。また、所有権の期限はなく、売買・贈与・相続も可能です。所得税や固定資産税といった税金も日本人と同じです。
一方で海外の場合は、日本のように自由ではありません。
中国をはじめとした多くのアジア諸国では、外国人だけではなく、その国の人も土地を所有することができません。

これは他の国でも同じです。
たとえばイギリスだと、一部の土地や建物を除いてすべて王室・貴族が所有しているので、基本的には借地権を取引することになります。

イギリス人も外国人も平等に借地権の取引を行うことになっていて、借地権は数年程度から999年契約などと大きな幅があります。
10年程度の短い借地権だと、不動産価格はかなり下がります。

また、東南アジア諸国では、外国人が不動産を取得することはできるものの、以下のような規制があります。
・外国人価格で買わなければならない
・新築のみ買うことができる
・マンションの外国人の部屋保有割合を規制している
・現地の国籍を持つ人と法人をつくって、共同所有でなければならない

こういった規制に比べると、日本の外国人に対する不動産所有は実にオープンで自由なのです。

中国だけじゃない! 発展途上国にも狙われる日本の不動産はなぜ買われ放題になっているのか? 外国人が不動産購入する条件が“ゆるい”という日本の現実_3