カルビー参入による苦境と打開策の新商品

その後、順調に拡大を続けるが、またも壁にぶち当たる。競合、カルビーの参入である。

「『かっぱえびせん』や『サッポロポテト』で流通網を全国に持った状態での参入でした。当社が徐々に広げていったシェアを一気に奪われてしまったようなイメージですね。

当社のポテトチップスが150円だったのに対して、カルビーさんは100円で販売を始めました。テレビCMの影響も大きく、当社の売上は停滞していきました」

広報部の伊藤恭佑さんはそう明かす。

苦境に立たされた湖池屋は、どのような戦略を立てていったのだろうか。

「私たちのアイデンディティとは何かを突き詰めていきました。ポテトチップスに出会った小池は日本独自のものとして国内に広め、量産化にも初めて成功した。

独創的でユニークな湖池屋にしかできないものを開発しよう、と生み出したのが1984年に発売した『カラムーチョ』です」(小幡さん)

「じゃがいもがこんなにおいしくなるのか!」創業者の感激で始まった湖池屋のポテトチップス。量産化への壁、カルビー参入で売上停滞、打開策のカラムーチョ…波乱万丈ヒストリー_11
発売当初の「カラムーチョ」。以降、約40年のロングセラーに

今でこそ辛みのあるスナック菓子は多いが、発売当時は皆無。型破りな新商品だった。

「辛いスナック菓子なんて売れるわけがない」との声が社内外からあったというが、チャレンジの結果、ロングセラー商品となっている。スナック菓子の辛味市場を開拓したのは、湖池屋だったのだ。

「商談は苦戦したと聞いています。ですが、とある大手コンビニエンスストアチェーンの方が『カラムーチョ』を面白がってくださり、お取り扱いいただいたことがきっかけで爆発的なヒットにつながりました。

当時はコンビニエンスストア業態が著しく成長を遂げ、流行の発信地でした。そのチェーンの年間食品ランキング1位が『カラムーチョ』だったという話が残っているくらいです」(伊藤さん)

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