創業者が飲み屋でポテトチップスに感動
「ポテトチップス のり塩」、「カラムーチョ」、「スコーン」、「ポリンキー」、「すっぱムーチョ」、「ドンタコス」、「プライドポテト」……。
誰もが知っているような、これらのスナック菓子は湖池屋(東京都板橋区)が開発してきたものだ。
1953年、おつまみ菓子の製造販売メーカーとして創業した同社は1962年に「湖池屋ポテトチップス のり塩」を発売。1967年に国内初のポテトチップスの量産化に成功した。
現在、市場シェアの多くを占めるのはカルビーだが、発売は湖池屋が10年以上早かった。
なぜ湖池屋はポテトチップスの開発に乗り出したのか。そこには、創業者が初めてポテトチップスを口にした瞬間のおいしさの感動があったという。
創業者の小池和夫氏(故人)が仕事仲間と飲みに行った店で高級珍味として出てきたのがポテトチップス。
時代は戦後の高度経済成長期だ。
「戦中を生き抜いた小池にとって、じゃがいもやさつまいもなどの芋類は、米が食べられないから仕方なく食べるものだったようなんです。当時の人たちは、じゃがいもにあまり価値を感じていなかった。
お店でポテトチップスを初めて食べた小池は、『じゃがいもがこんなにおいしくなるのか』と非常に感銘を受けた、と聞いています」
こう話すのは、広報部の小幡和哉さんだ。
「このおいしさの衝撃と感動を多くの人に届けることができればもっと喜んでもらえるのでは、と考えたのが原点。今も当社は、小池の当時の思いを引き継いでいます」