「こんな酸っぱいものは売れない」と言われた発売前
シゲキックスが発売されたのは今から30年前の1992年。当時はガムが路上に吐き捨てられるといったことも多く、「地域によってはガム禁止令が出されるほどに問題化していたみたいです」と担当者は話す。そんな状況を受けて製菓会社「UHA味覚糖」が開発したのが、まるでガムのような噛み応えのあるグミだった。
「当初は眠気を打破するカフェインの刺激のコーヒー味、スーッとする刺激のミント味、酸っぱい刺激のレモン味という3種のフレーバーと硬い食感が合わさった"総合的な刺激"を楽しんでもらうグミとして、眠気覚ましやリフレッシュなどに食べてもらえるように学生さんやサラリーマン、若い女性に向けて開発しました」
発売時のシゲキックスは現在のような酸っぱさを強調したものではなく、3つの刺激を選んで楽しめるバリエーション豊かな商品だった。またグミは飴やガムと比べるとまだまだマイナーなお菓子だったため、シゲキックスはガムの代替品のイメージで「食べるガム」という位置付けだった。
だが、当時は甘くてやわらかいグミが一般的だったため、"刺激"を売りにしたシゲキックスはあまりに異質な存在だった。そのため発売前は会社内や小売店から「こんな酸っぱいものを誰が食べるんだ?」という声も多く上がったくらい、前評判はよくなかったそうだ。
社内やお店などからは期待されていなかったが、いざ発売してみると消費者からは大人気に。特に、これまでになかったレモン味の刺激的な酸っぱさとハードな食感の反響がよく、ときには製造が追いつかないほどだった。レモン味がヒット商品となったことによりグレープ味やオレンジ味といったフルーツ系のフレーバーを展開し、その後はコーラ味や現在も定番のソーダ味を発売するに至った。
そして、フルーツ系のフレーバーが大ヒットするなか、コーヒー味とミント味だけは人気が出ずにひっそり姿を消すことになった。