野田クリスタルはポケモン、周囲は…というギャップ

この「たとえとして何を出すか」問題は時に人を大いに悩ませる。

先日の『あちこちオードリー』(テレビ東京)でマヂカルラブリーの野田クリスタルが、吉本興業に入った当時、同期は世代がひとまわり上で、自分がポケモンの話をしたいところ、周囲はキン肉マンや北斗の拳のたとえを使ったネタをしていて難しかったと語っていた。その結果、野田クリスタルは吉本ライブから地下ライブへと潜っていったという話だったが、こういった例は芸能界に限った話でもない。

学生時代というのは基本同世代と行動を共にするので、その世代での共通ボキャブラリーで話をすればいい。しかし、社会人になれば自分の親よりも年上の人と同じ空間で仕事をしたり飯を食ったりするのが当たり前になる。

同級生とのカラオケでは当たり前のように歌っていたボカロ曲を、50歳過ぎた部長の前で歌うのはどうだろうと考えて、カラオケランキングから事前に仕入れておいた『タッチ』とかを歌ったりして「なんでこんな曲知ってるの?」とか言われて「お母さんがよく聴いてたんです」とか答えて「お母さんいくつ? 48? 俺より年下じゃない。まじかー」とか言われたりするようになるのだ。

一方でおじさん部長の側も「あんまり若い曲入れたら、“無理してついてこようとすんなよじじい”とか内心は思われるんだろうな」とか「かといって古い曲入れてキョトンとされたり愛想タンバリンとかされたりするのもきちー」とか思ってしまうわけで、一次会からの流れでいく世代ギャップありの職場のカラオケなんて百害あって一利なしである。あれ、法律で禁止できないですかね。