有吉弘行が上りつめた「日本芸能界のてっぺん」
みなさんは「日本芸能界のてっぺん」と言われると何を想像するだろうか。
人によっては東京ドームで連日超満員コンサートかもしれないし、年間興行収入ナンバーワンの映画の主演かもしれない。人によって想像する頂点はさまざまだ。
しかし「NHK紅白歌合戦の司会」が頂点の中の一つであることに異論はないだろう。
これまでに紅白の司会を経験した芸能人は100人に満たない。そんな限られた人しか上れない頂に、2023年、有吉弘行の名前が刻まれることとなった。
すでに各局で冠レギュラー番組を持つ有吉。NHKでも長く『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』の司会を務めており、2022年にはゲストとして紅白出場した経緯も考えると、司会に選ばれてもまったくおかしくはなかった。
それでも多くの人がこの人選には驚いたことだろう。いくどとなく芸能界の泥水をすすりながら生き残ってきた彼が、ここまで上り詰めたということに。
ご存じのいる方もいるだろうが、有吉は日本テレビ『EXテレビ』の企画を通じて、オール巨人の弟子となり芸能生活をスタート。その後、地元の友人であった森脇和成とコンビ・猿岩石を結成し、現在も所属する事務所・太田プロに加入した。
そして1996年。人気番組『進め!電波少年』の企画「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」の挑戦者に選ばれ、一躍大人気となった。
今回は有吉のある種の原点、ヒッチハイク企画中の日記を本にまとめた『猿岩石日記』(日本テレビ放送網)を改めて読んでみようという話である。
公称250万部ともいわれる『猿岩石日記』の気になる裏表紙
当時の私は社会人2年目。テレビで電波少年は見ていたが、かぶりついて見ていたというほどではなく『猿岩石日記』も購入していなかった。
どちらかといえばその後の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』目当てで日テレにチャンネルを合わせていたという感じだった。
したがってヒッチハイク企画自体はある程度見ていたが、本は初めて読む。そんなステータスである。
以前本欄でも読んでみた松本人志『遺書』(記事はこちら)は今でも新刊で購入できたが、残念ながら『猿岩石日記』は絶版だったので仕方なく古書店で購入。当時「極限のアジア編」「怒涛のヨーロッパ編」の2冊セットで公称250万部売れたと言われている。
まず驚くのは「ヨーロッパ編」の裏表紙に猿岩石2人のパスポートの写真ページが何の墨塗りもモザイク処理もなく、そのまま掲載されていること。
1996年2月14日に発行されている10年期限パスポートで、この本が出たころはバリバリ有効期限内。記載されている個人情報は名前と国籍くらいだが、悪用されたりしなかったのだろうか。おおらかな時代である。