17年の歴史を刻む、日曜朝のトーク番組『ボクらの時代』

年寄りじみた話から始まり申し訳ないが、年齢を重ねるにつれて朝起きるのが早くなってきた。元来低血圧で朝に滅法弱かったはずの私だが、今はたとえ何の用事もない昼過ぎまで寝ていてもいい日曜日でも、朝6時過ぎには目が覚めてしまう。

起きてからテレビをつけると『はやく起きた朝は…』(フジテレビ系列)がいつものメンバーでやっている。そんなに早く起きる日曜朝なんかねえよと昔は思っていたが、今は『はやく起きた朝は…』が始まる前に目覚めている。

そんな悲しい気分で磯野貴理子たちを見終わった後、日曜朝7時にビートルズのナンバーと共に始まるのが『ボクらの時代』(フジテレビ系列)である。

2007年4月にスタートした『ボクらの時代』は3人(たまに4人)の有名人がトークする30分番組で、出演するのは俳優や芸人にとどまらず、ミュージシャンだったりスポーツ選手だったり文化人だったりさまざまだ。番組の歴史は17年を数え、今やトーク内容がしばしばネットニュースになることでも有名である。

 

第一回目の放送から伝わるフジテレビの意気込み

テレビにおけるトーク番組といえば、ホスト役がいてゲストの話を聞くスタイルが主流だ。『徹子の部屋』(テレビ朝日系列)、『A-Studio+』(TBS系列)、『おしゃれクリップ』(日本テレビ系列)……と代表的なトーク番組を思い浮かべてみても大半はこのスタイルである。

一方、『ボクらの時代』はホストMCどころか進行役のアナウンサーなども置かず、純粋にゲストだけが台本もなく勝手に話をする。こういうトーク番組は意外に少ない。

また、ここまでノンジャンルでいろんな人が出演する番組も珍しい。

『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系列)のようにスポーツに特化しているわけでもないし、『アメトーーク!』(テレビ朝日系列)のように芸人に特化しているわけでもない。

そもそも第一回の組み合わせが「安藤忠雄×三宅一生×深澤直人」である。

当時できたばかりのデザインミュージアム「21_21 DESIGN SIGHT」の立ち上げメンバーである3人というつながりだが、それにしても豪華な組み合わせだ。

その前の週まで同じ枠で『晴れたらイイねッ!Let’sコミミ隊』でフジテレビアナウンサーがゆるい旅をしていたとは思えない力の入れようである。日曜朝に新たな文化を根付かせようという並々ならぬ決意が窺える。

そんなゴリゴリの文化人で始まった『ボクらの時代』も長い歴史を紐解けば、いろいろな組み合わせがあった。今回はその過去を振り返りつつ、2024年の『ボクらの時代』を展望していきたい。