#1 ABCテレビが『M-1』よりも大事にしている“深夜バラエティ”とは?はこちらから
各番組がひとつの国のようなイメージだった
関西地方における深夜バラエティの牙城と言える「ナイトinナイト」。MCやメイン出演者こそ全国区の芸人が務めているが、各番組ともロケVTRをメインにした企画が多く、これから伸びる次世代スター、駆け出しの新人たちにとっての登竜門的存在ともなっている。
新たに「ナイトinナイト」枠でスタートした『これ余談なんですけど・・・』の放送第一回目で、かまいたち・濱家は「来るとこまで来たなという感じ。大阪で上り詰めた人しかやらないから」と、伝統の枠で番組が持てる感慨を述べていたが、芸人たちにとっても、やはり「憧れの場所」として存在している。
今回インタビューに登場いただいたのは、2003年にABCに入社した鈴木洋平プロデューサー。途中、ラジオの制作に異動した時期もあったものの(その時期に帯番組「よなよな…」を立ち上げ、ラジオスターとしてのダイアンを発掘したことでも知られる)、制作部にて数々のバラエティを制作し、複数の「ナイトinナイト」枠にも参加してきた。
「キャリア的には『ごきげん!ブランニュ』(01~16)のADからはじまって、『M-1グランプリ』の制作にも携わりながら、レギュラーとしては『ビーバップ!ハイヒール』(05~20)や、『探偵!ナイトスクープ』(88~)にも参加していました。それからラジオに異動したのち、テレビの世界に戻ってきてから『過ぎるTV』(13~)、そして11月まで『いたって真剣です』(20~)のプロデュースをしていたので、局の中でも「ナイトinナイト」に関わっている方だと思います」
長らく「ナイトinナイト」の制作に関わってきたことで、その時代における各番組の関係性の変化も実感しているという鈴木氏。当初はその枠へのプレッシャーは感じることはなかったというが、キャリアを重ねるにつれて、また他局の制作者との交流が増えるにつれて、よりその重要性を意識するようになっていった。
「僕が入社してADからディレクターをはじめたころは、各番組がひとつの国みたいなイメージで、“まったく違うことをやるんだ”とバチバチしている感じは強かったですね。でも、今はそこまでライバルっぽくはないというか、どちらかというと協力しようという体制になってきていると思います。ですので、ラジオから戻ってきた最初の頃は『ナイトinナイト』だから、みたいな枠組みはあまり意識していなかったですね。他局の人と話していると“あの時間にあれができるのはいいよね”と言われて“確かに”、と。あの時間でしっかりとお笑い、バラエティを制作できるのは、伝統の枠が続いているからでしょうね」