若手芸人が「ギャラは?」と群がる感じの鎌倉幕府、とは真逆の江戸幕府

――『どうする家康』の初回放送を見て、どのような印象を持ちましたか?

鎌倉幕府の真逆ですよね。鎌倉の御家人たちは「源頼朝を担いで俺たちが世に出よう」という感じ。歩合制の若手芸人が「ギャラはいくらですか?」と群がってきている感じなわけですよ。
でも、徳川家康は「褒美が欲しいだけの家臣はいりません」と。義理人情でスクラムを組んだ、本当に血の通った家臣たちが集まっている。そこが真逆ですよね。

プロ野球でいうと、先発が織田信長、中継ぎが豊臣秀吉、そして抑えの大仕事を家康がやった感じ。家康は「頼朝が作った鎌倉幕府の失敗はやりませんよ。足利尊氏が作った室町幕府の失敗はやりませんよ」と、過去のふたつの幕府の流れを見て、理想の江戸幕府を作ったんです。

――家康は、鎌倉幕府の中枢が書いたとされる歴史書『吾妻鏡』を読んで研究していたようですね。

鎌倉幕府寄りの『吾妻鏡』は子供の頃からもちろん読んでいたし、朝廷寄りの『愚管抄』(鎌倉時代初期の史論書)も読んでいたはず。『愚管抄』は「スポーツ報知」、『吾妻鏡』は「デイリースポーツ」のようなものなんですよ。

それを家康は両方読むわけです。そうすると同じ阪神・巨人戦なのに、「あれ? デイリースポーツの記事は阪神のことしか書かれていないぞ。スポーツ報知はジャイアンツの記事ばっかりだけど」って思ったはずですよ(笑)。