2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が好評だ。小栗旬演じる北条義時(小四郎)を主人公に据え、大泉洋演じる源頼朝の隆盛から凋落までを描く、鎌倉時代を舞台にした物語だ。
史実に基づきながらも、三谷幸喜脚本によるウィットと残酷さが入り混じった急勾配のある構成が評判の所以だろう。
今作に限らず、大河ドラマを視聴するときには、歴史を少しかじっておくのが良い。史実と比較することで、より物語を楽しめるからだ。
そうはいっても、今さら鎌倉時代を勉強し直すのは少々の手間なのも事実。そこで今回は気軽に鎌倉時代の基礎をおさらいできる『世界のなかの日本の歴史』シリーズのうちの1冊、『一冊でわかる鎌倉時代』(大石学監修/河出書房新社)を紹介しよう。
イラスト&図解たっぷりでわかりやすい
学生時代に習った日本史や世界史について、どんな印象をお持ちだろうか。知的好奇心が刺激され、のめり込むように学んだ方もいれば、似たような地名や人名に辟易し、早々に苦手意識を持った方も多いだろう。歴史は好き嫌いが激しい分野である。
本書『一冊でわかる鎌倉時代』は、歴史が苦手だと感じていた方にこそおすすめしたい。
まず、至るところに示されているイラストや図解が、イメージが漠然としやすく歴史への理解を助けてくれる。
鎌倉時代で言えば、鎌倉幕府を作った源頼朝、戦の天才と謳われた源義経あたりはハッキリとイメージできるだろう。しかし、同じ源には「義朝」「実朝」「頼家」「頼経」「頼嗣」など多くの武将がおり、それぞれの人物が何をしたか、パッと暗誦できる人はそう多くはないはず。
本書では、鎌倉幕府の成り立ちから、約30年の短さで幕を閉じた顛末までをわかりやす解説。歴史の教科書では文章や年表の羅列で終わっていた部分が、イラストや図解を駆使することで想像しやすい構成になっているのだ。