「やっと掴んだ毎日だから、365日でもやらしてください」

――90年代は、そういう日記のようなみんなに近い曲を歌いつつも、どんどんカリスマ化していったわけじゃないですか。当時、そういう状況はどうご覧になっていたんですか?

外に出なかったから、知らなかったんです。だって、考えてみてください。ひとりで全部やってたら外に出られないでしょ? 3か月に1枚のペースで曲を作って、歌を録って、コーラスを録ってる間に、次の発注が来て……私、365日中364日スタジオを3年間続けた記録があります。だから、ぜんっぜん、世間の状況を知らなかった。テレビと通帳、まったく見てなかったから。

――(笑)。

そんな暇、ないんだもん。スタジオでばたっと倒れて仮眠するぐらいで。でも私は、会社がどうしてもって手を伸ばして買ってくれた人ではなくて、バックコーラス上がりの叩き上げだから。いつこの日々を奪われるかわからないって、必死でしたね。

それに、音楽漬けの毎日が幸せなの。

音楽をやりたいのに、スーパーの品出しとか夜中の交通整理とか、やりたくないことをやってやっと掴んだ毎日だから、365日でもやらしてくださいっていう。ハングリー精神じゃなくて、ハングリーだったの、本当に(笑)。そんな日々がずっと続いて、気が付いたら90年代を爆走してたんです。

――当時、「大黒摩季3人説」もあるぐらいのミステリアスな存在になっていましたね。

最後、6人まで増えましたからね(笑)。当時、北海道のノースウェーブのラジオ番組はやっていたんですけど、制作していて時間がないから、メディアに出なくて。写真を撮られるのも不得意だから、写真もほぼ、横顔とかシルエットになっちゃったんですよ。ビデオだって、車を運転してる横を並走して撮るだけとかね。

そういうこともあって、偶像化されて「本当はいないんじゃないか」とも言われました(笑)。

取材・文/川辺美希

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