質の悪い便乗値上げが横行している

もちろん、現在の円はあまりにも過小評価(アンダーバリュー)されているため、何かのきっかけで円高に振れる局面はあるでしょう。

しかし、基本的には実質金利が低いことに加え、経済のファンダメンタルズを良くするような政策が取られていないため、簡単には円高に向かいにくい構造になっています。

国民の皆様が生活の中で感じている「物価高」も深刻です。しかし、実はマクロで見ると、スタグフレーションと呼ぶほどインフレ率が高いわけではありません。政府の経済見通しでも今年の物価上昇率は1.9%から2%程度と、全体としては落ち着きを見せています。

ではなぜ、生活実感としてこれほど高く感じるのか。一つは生鮮食料品など身近なものが大きく上がっているからです。そしてもう一つは、価格を変えずに内容量を減らす「シュリンクフレーション」が横行しているからです。

さらに問題なのは、政府が「高圧経済」の名のもとに「賃金を上げろ、物価を上げろ」と旗を振ったことで、社会全体に「便乗値上げ」の口実を与えてしまったことです。

「維新は何をやっているんだ」竹中平蔵が橋下徹時代の"維新らしさ"を取り戻せと訴える理由「今は高市政権を立てているだけ」_2

国際的な輸入価格の引き上げを理由にしながら、国内価格の引き上げも行われているのが実態です。この4ヶ月間は実質賃金がプラスになっていますが、これが長期的に続くかどうかは極めて疑わしいと言わざるを得ません。

高市政権、石破政権と本質的には何も変わっていない

先日、政府の「骨太の方針」の原案が示されましたが、これを読むと、事務方がいかに苦労して書いたかが透けて見えます。

「責任ある積極財政」という矛盾を抱えた言葉の帳尻を合わせるため、今までと本質的には十分変わっていないものを、変わったかのように見せる工夫に終始しています。

例えば「プライマリーバランスの評価」について。単年度で見ないと言いながら、そもそも過去に単年度で達成目標にしたことなどありません。

また「国債残高比率の指標」については、GDPに対する国債残高比率を見るといっても、物価上昇率と名目GDP成長率が同じであれば、結局はプライマリーバランスを見るのと同じことです。

「給付付き税額控除」も実態は給付しか行わないものであり、これまでの石破政権や岸田政権から本質的には何も変わっていません。

さらに「経済対策としての補正予算を組まず、本予算に組み込む」と勇ましく語っていますが、これは小泉政権時代からやっていた当たり前のことです。