ドローン戦争で変わる国際秩序、そしてロシアの国際社会復帰

① ドローン戦争技術の世界的拡散

ロシアとウクライナの戦場では、ドローン技術が実戦経験を伴って飛躍的に高度化した。製造技術だけでなく、操縦・運用に習熟した戦闘員が大量に育成されている。戦争が終われば、これらの技術と人材は当然ながら世界中へと拡散する。

すでにウクライナのドローン技術は西側諸国や湾岸諸国と共有されつつあり、ロシア側も同様だ。問題は、その拡散先が国家に限られない点にある。

ロシア・ウクライナ戦争で使用されている戦術ドローンのうち、最も多用されるFPVドローン(写真/共同通信社)
ロシア・ウクライナ戦争で使用されている戦術ドローンのうち、最も多用されるFPVドローン(写真/共同通信社)

ドローン兵器は安価で入手しやすく、非対称戦に極めて有効であるため、テロ組織や非国家主体が容易に利用できる。

国家の枠組みでは拡散を完全に制御することは難しく、世界中の紛争地帯に新たな火種をもたらす危険性が高い。これは国際安全保障にとって極めて深刻な問題である。

② ロシアの国際社会への復帰

停戦の条件次第ではあるが、戦争が終わればロシアは遠からず国際社会への復帰を模索するだろう。

現在、ロシアは中国の影響下にあるとされるが、それでもエネルギー大国・軍事大国としての基盤は揺らいでいない。エネルギー供給、北極海航路、核問題など、ロシアが関与する国際課題は多岐にわたる。

欧州や日本は、ロシアとの関係再構築において難しい判断を迫られる。ウクライナ復興支援を通じた経済的利得を確保しつつ、ロシアとの関係でも実利を追求する必要がある。

制裁解除のタイミングや外交的距離感を誤れば、国益を損なう可能性もある。戦後のロシアをどう扱うかは、日本外交にとって避けて通れない課題となる。

米ロの「敵の敵は味方」というロジック

③ 米ロ関係の再編と米欧関係の亀裂
トランプ政権は欧州のポリティカルコレクトネスに基づく価値観を強く批判しており、ロシアが国際社会に復帰すれば、米欧関係の亀裂は一層深まる可能性がある。

ロシアは反ポリティカルコレクトネス的な価値観を発信する国であり、米国の一部政治勢力と親和性を持つ側面もある。

リベラルな論調の報道一色の日本から見ると、このような米ロの「敵の敵は味方」というロジックは見えにくく、国際政治の底流に流れる米欧対立の本質を掴み損ねる可能性がある。この力学を注意して意識することは極めて重要なことだ。

もし米ロ関係が何らかの形で改善すれば、その影響は米中関係にも波及し、国際秩序の力学を大きく変える。

日本としては、米ロ関係の変化が中国政策に及ぼす間接的影響を慎重に分析し、複数のシナリオに基づくコンティンジェンシープランを構築しておく必要がある。

米ロ関係の再編もありうる?
米ロ関係の再編もありうる?