ロシアの国家崩壊リスクと「チャンス」
④ ロシアの極東プレゼンス拡大
ロシアはウクライナ戦争で地上戦力を大きく損耗したが、海軍戦力はほぼ無傷で残っている。戦後、国際社会への影響力を誇示するため、極東地域での軍事プレゼンスを強化する可能性は十分にある。
中露合同軍事演習が近年増加していることを踏まえれば、ロシアの極東シフトは現実的な懸念だ。
日本は現在、安保三文書の改定を進めているが、対中を意識した南西諸島防衛だけでなく、対ロシアを想定した広範な戦力投射能力の整備が求められる。北方領域を含む日本周辺の安全保障環境は、戦後にむしろ不安定化する可能性がある。
⑤ ロシアの国家崩壊リスク
最後に、ロシアが戦時経済から通常経済へ移行できず、プーチン体制が崩壊する可能性も想定しておくべきだ。国家崩壊が起きれば、難民流出、核管理の不安定化、地域紛争の多発など、深刻なリスクが生じる。
ロシア・ウクライナ戦争が長期化する最大の理由は、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の双方が、現時点で真の意味での和平を望んでいない点にある。
プーチンにとって、戦争は国内統治の正統性を維持するための装置であり、停戦は領土的譲歩や体制の弱体化を招きかねない。したがって、彼は「勝利」を示す象徴的成果を得ない限り、交渉のテーブルに本気で着くことは難しい。
一方、ゼレンスキーにとっても、領土の放棄は政治的に受け入れがたく、国民の抵抗意識を背景に「完全な主権回復」を掲げ続けざるを得ない。西側諸国の支援が続く限り、彼にとっても戦争継続は選択肢として排除されない。
戦争が終わった後には、また別の不安定が待っている
こうして両者は、互いに譲歩すれば政治的に致命傷を負う構造に縛られている。結果として、戦争は軍事的な勝敗ではなく、政治的な計算によって延命されている側面が強い。和平を望まない二人の指導者の下で、戦争は「終わらせることができない戦争」へと変質しつつある。
以上の五つのリスクは、日本が最低限備えておくべき論点である。ロシアは日本の隣国であり、その政治的・軍事的動向は日本の安全保障に直接的な影響を与える。戦争が続く限り世界は不安定だが、戦争が終わった後には、また別の不安定が待っている。平和は次の戦争までの休憩に過ぎない。
しかし、戦争終結にはチャンスも存在している。













