世界から徐々に忘れられつつある戦争
中東での対イラン戦争が一旦の小休止に入り、トランプ政権の関心は徐々に自国の裏庭である中南米へと移りつつある。
近年、中南米では右派勢力が相次いで国政選挙で勝利し、今年10月にはブラジル大統領選挙も控える。さらに、キューバ政権の転覆を含む大胆な政策目標が掲げられているとされ、米国の地域戦略は新たな局面を迎えている。
他方で、米中間の経済安全保障をめぐる中長期的な対立構造は依然として続き、世界の地政学的緊張はむしろ拡大している。
こうした国際情勢の激動の中で、世界から徐々に忘れられつつある戦争がある。それがロシア・ウクライナ戦争だ。
トランプ大統領は当初、「24時間以内に問題を解決する」と強調していたが、実際にはロシア・ウクライナ双方ともに譲歩の気配を見せず、戦闘は現在も継続している。
地上戦線は一進一退の膠着状態にあり、ミサイル攻撃やドローン戦による空中戦だけが断片的に報じられる状況だ。
むしろ、このような空中戦主体では敵対勢力に決定的な敗北をもたらすことは困難であり、もはや終わりの見えない、不毛な消耗戦が続いていると言ってよい。
トランプが意図的に戦争の長期化を容認している説
しかし、冷静に考えると、この戦争は「終わらせてはならない戦争」へと変質しつつある側面も否定できない。なぜなら、戦争が終結した瞬間、国際秩序は大きく揺らぎ、その変化が世界中に予測不能なリスクをもたらす可能性があるからだ。
トランプ政権が意図的に戦争の長期化を容認しているとの見方が一部で語られるのも、こうした構造的リスクを背景にしている。ただし、どれほど長期化しようとも、戦争はいつか必ず終わりを迎える。
したがって、我々は「戦後」を見据え、国際秩序の変化に伴うリスクへの備えを今から始めなければならない。
以下では、日本が最低限想定すべき五つのリスクを整理する。













