極右という幽霊
「ヨーロッパに幽霊が出る ― 極右という幽霊が」。これはもちろん、マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』の冒頭の一文をもじったものである。19世紀のヨーロッパを覆っていたのが「共産主義の幽霊」だったとすれば、21世紀の今日を覆っているのは「極右の幽霊」ではないか。こんな議論はいま欧州を中心に盛んになされている。極右政党の台頭という現象は、フランスやドイツをはじめとする欧州諸国から、アメリカ、インド、ブラジルといった民主主義の大国に至るまで、世界各地を席巻している。
この幽霊が、いま日本でも徘徊しているのではないか。2025年夏の参院選において参政党が大躍進したことが国内外で「極右政党の台頭」と報じられ、大きな注目を集めたのは記憶に新しい。
物議を醸した「日本人ファースト」というスローガン、「みんなでゼロから作る政党」という、人民を主体としたポピュリズム的な看板、神谷宗幣というカリスマ的指導者、財務省などの官僚や既存政党に象徴されるエリートへの反発、「新日本憲法(構想案)」に見られる天皇主権や国家主義的要素―――欧米の極右政党の躍進という現象に多少通じている人からすれば、この参政党の台頭の背景にある思想やその戦術は、どこか既視感があるものではなかっただろうか。
その「既視感」の答え合わせであるかのように、参政党の神谷代表が記者会見で「親和性を感じる政党」として挙げたのは、アメリカ共和党のトランプ派、ドイツの『ドイツのための選択肢』(AfD)、フランスの国民連合(RN)、英国のリフォームUKと、いずれも欧米で「極右」と分類される政党であった(*1)。
*1 神谷代表は2025年8月にAfD共同代表であるクルパラ氏と会談を行った(会談を伝える神谷氏のX(旧Twitter)の投稿)。













