「金太郎、負けを認める。」(集英社文庫・コミック版7巻収録)
負けを認めたときにできること
『サラリーマン金太郎』第65話では、金太郎が“自分に勝つ方法”を語る。
金太郎にとって初の海外赴任となったナビリアでの工事は、結局最後までやり切ることはできなかった。途中で戦争が始まり、工事現場は破壊された。2年半かけて作ってきたものは台無し。つまり、工事は失敗で、勝ち負けで考えれば負けたようなものだ。
帰りの空港、金太郎は現地で友情を育んだハシリと涙の別れをし、サハラの砂漠をあとにする。
だが、帰りの飛行機の中の金太郎は、妙にさっぱりした顔をしていた。完全な失敗で、なにもできなかったといってもいい結末だったのに、その表情は不思議と悪くない。
その理由を同僚に聞かれると、金太郎は「自分に勝つ方法が分かった気がする」と打ち明けはじめる。そして、自分は今まで勝ちしか許されない主役ではなく、負けることもできる脇役の人生を送ってきた気がすると語ったうえで、こう続けた。
「どうやっても自分の力ではどうにもならないことがある」
「どんなに自分にとってひどい結果でも、それを受け止めた時、それは自分の血となり肉となって、自分の次への力になるんだ……自分を成長させる力だ……」
そして最後にこう締めくくる。
「負けても、負けても、それを自分の血と肉にすることが、たった一つ自分に勝つ方法みたいな気がするよ」
確かに仕事としては失敗した。だが、なにも得なかったわけじゃない。ハシリというかけがいのない友人、現地で知った人生の過酷さ、そして自分の力ではどうにもならない現実。それらすべてが、これから生きていくうえで大切なものになったのだ。
もちろん利益を追求する会社としては、それで済む話ではないだろう。だが金太郎の人生にとって、この2年半はただの負けではなかった。
仕事で失敗したときや、何かの勝負で大敗北したときには、金太郎のこの言葉を思い返したい。























