「金太郎、上京する。」(集英社文庫・コミック版1巻収録)

「サラリーマンとは何ぞ……? いつから大学出でなくてはならなくなった? いつから背広姿と決められたのだ。いつから減点法によってしか勤務の評価をしない様になった。なぜこんなにも周りを気にして不自由になった。なぜつまらん規則で自分達の首をしめ続けるのだ」

今から30年以上前、当時の平成の会社・社会に疑問を投げかけたこのセリフ。果たして今は解消されているだろうか。部分的に見れば、令和の時代、働き方は多様となり、私服での出勤、学歴ではなく能力での採用、年功序列ではなく実績での昇進など、徐々に変わり始めている。だが、それもやはり、あくまで一部の例でしかない。

30年が経過しても、日本の社会はそこまで大きく変わったとは言い難く、停滞感からの脱出がいまだに課題として残っている。では、これを打破するにはどうしたらいいのか。制度の改革? 法の整備? 海外の成功例をなぞること?

いや――元暴走族総長の中途採用だ!

ということで紹介するのが、本宮ひろ志による伝説のビジネス漫画『サラリーマン金太郎』。主人公・矢島金太郎は、約1万人規模の暴走族を2年間束ねていた伝説の総長。妻の実家の田舎で漁師をしていた彼が、どういうわけか、超一流企業「ヤマト建設」に中途で赴任してくるところから物語は始まる。

だがその前夜、街中でサラリーマンに暴行していたヤンキーを、手始めにフルボッコ。なじみの警察官に捕まり、そのままタクシーで連行され、結果、出社初日はタクシー通勤。とんでもない幕開けだ。

令和の今ならコンプラ的に即クビ? いや、平成初期でも相当ヤバい。それでも、もしかすると、この男に一番期待してしまうのは、当時のサラリーマンたちよりも、SNSで日々監視し合い、表に出る人も出ない人も関係なく、正しさを強要し合うことに疲れきった、令和の私たちなのかもしれない。

不適切にもほどがある。それでも、なぜかあこがれてしまう。サラリーマン金太郎劇場、開幕です!