「金太郎、安まらず。」(集英社文庫・コミック版7巻収録)

男と女の違いとは何なのか……

『サラリーマン金太郎』第62話では、金太郎の恋人・美鈴が、黒川社長に結婚への迷いを打ち明ける。

金太郎はナビリアでの工事をほぼ終え、ようやく帰国が見えてきた。そんな中、日本では美鈴が黒川社長のもとを訪れる。以前クラブで大暴れしたことへの詫びもあるのだろうが、本題はそこではない。

美鈴は黒川社長に、「あの子にとって本当に私でいいんでしょうか」と切り出す。ナビリアの地で、金太郎から「帰ったら結婚しよう」とプロポーズされた美鈴。もちろん嬉しい。だが、それだけでは済ますことはできない。

金太郎より10歳上で、クラブのママという立場でもある。「私のようなおばあちゃんじゃなく、普通の娘さんと、普通の結婚をした方が、金ちゃんにとっていいことでしょう」と打ち明ける。

さらに口にするのが、「ちゃんとした結婚をしないと、サラリーマンにとってはマイナスだし……」という言葉。この時代、サラリーマンとはいわば“平均的な日本人の人生”を歩む存在でもあった。会社でキャリアを積み重ねていく金太郎にとって、自分のような変わった立場の女性が妻では、不利に働くのではないか……。美鈴はそこまで考えている。

そんな美鈴に、黒川社長が“愛”を語り始める。

「愛という感情、男と女では感じ方が違うかもしれません。女性が持っているような愛情はね、男にはありませんよ」

そして、男にあるのはエネルギーとしての欲であり、性欲であり、征服欲であり、女性の愛情に匹敵する男の感情は「責任感」だと言い放つ。

この言葉は、黒川社長が美鈴を突き放しているのわけではない。美鈴は金太郎との結婚を、自分なりの“責任感”でためらっている。だが黒川社長は、女性の美鈴がそこまで背負い込まなくていい、あなたには愛情があればいいのだと、背中を押しているのだ。

黒川社長の渋い名言の全文は、ぜひ漫画で確かめてほしい。