「金太郎、砂に克つ。」(集英社文庫・コミック版6巻収録)

テーブル返しを食らった黒川社長

『サラリーマン金太郎』第60話では、金太郎の恋人・美鈴の怒りが爆発する。

ナビリアでの金太郎の過酷な労働状況を見て涙を流した美鈴。日本に戻ってクラブに出ると、そこにいたのはヤマト建設の黒川社長の酔っぱらった姿だった。

両脇に女性を携え、ご満悦に酒を飲み交わしている。さらに美鈴にもいつものように軽口をたたくものだから、美鈴の怒りはついに爆発。ちゃぶ台返しならぬ、まさかのテーブル返しを食らわせる。

黒川社長は酒と氷びたしになり、美鈴は「すぐ店を出てって! 二度と来ないでよ!」と激昂する。それもそうだ。愛する金太郎が死を覚悟して自分を見失うほど追い詰められている一方で、社長は女遊びをしているのだから。

「あんたの社員がどんな思いで仕事をしているか、どんなに苦しい中にいるか、少しは考えたことあるの!?」「こんなバカ上役の会社のために、命を削っているというの……!」と、ナビリアで見てきた金太郎の姿をそのままぶつける。現場を実際に見て帰ってきたからこそ、言いたいことが山ほどあるのだろう。

これはどう考えても黒川社長には弁解の余地なし……と思いきや、黒川社長は水びたしになりながらもいつものように鋭い表情を浮かべている。

そして金太郎の仕事のことを「断じて逃げることのできない男の戦いだよ」と語る。そのうえで自分も「金太郎のことを一時たりとも忘れたことはない」と言い切り、その信頼関係をアピール。妙に納得感のある空気で話を着地させてしまった。

やはりヤマト建設の社長ともあれば、ただの色ボケ親父ではなく、いつでも社員のことを考えているのだろう。とはいえ、女性と遊んでいるときの顔を見ると、やっぱりどう考えても金太郎のことを忘れていたのでは……とも思ってしまうのだが。

あのクールな黒川社長のたるんだ顔は、ぜひ漫画で確認してほしい。