在留カードの「永住者」の文字を見て涙があふれた
──永住権を取得したときはどんな気持ちでしたか?
入管のカウンターに在留カードが置かれて、「永住者」という文字が目に入った瞬間、涙が出てきました。涙と老眼で小さな文字は見えにくいので、カードを近づけて「やっぱり『永住者』だ」と確認して。しばらくそのカードを見つめたまま入管を出ました。
私は「日本にお邪魔させていただいている」という感覚が強いので、「認められた」と感じられたことが、本当にうれしかったですね。
──「お邪魔させていただいている」という感覚は、いつからありましたか?
とくに感じるようになったのは、おばあちゃんのおかげですね。18歳で歌手を目指して葛飾のおばあちゃんの家に来たとき、それまでは甘やかしてくれたおばあちゃんが「住む」となった途端に態度が変わって。
「あなたは外国人で、この国にお邪魔させていただいているの。だから日本文化を知って、日本語を話せるようにならないとダメだよ」ときつく言われていました。私が「歌手になりたい」と言ったときも、「夢をもつのはいいけど、日本語もわからないのに英語の歌ばかり歌うのは違うよ」と。
靴のまま家に上がってしまったり、湯船の中で石鹸を使って体を洗ったり……そういうところからスタートした私に、日本の文化を教えてくれました。もう亡くなっていますけど、今もずっと見守ってもらえている感じがしますね。
──永住権を手にした今、これから日本でどんなことに挑戦していきたいですか。
今よりもっと仕事を頑張りたいなと思っています。あとは、きれいに漢字が書けるようになりたい。書き順が違うってよく指摘されるので。「日本人でも書き順を気にする人いないよ」と言われることもあるけど、「だから書けなくてもいい」と甘えないでいたい。
もっと日本語のボキャブラリーを増やさないといけないし、これからも日本で生きていくのですから、もっと勉強したいと考えています。
取材・文/福永太郎













