政府の「求める人材」「求める能力」
こちらの図表を見てください。なかなか衝撃的です。私は見た瞬間、椅子から転げ落ちそうになりましたが、皆さんは大丈夫でしょうか。
政府はまだまだ「能力」贔屓と言いますか、有能な個人の育成に大変意欲的なことがよく分かります。これは経済産業省が2022年に出した、「未来人材ビジョン」という提言書にあるスライドです。
「あらゆる人が時代の変化を察知し、能力やスキルを絶えず更新し続けなければ、今後加速する産業構造の転換に適応できない」と前置きした上で、「こうした変化に対処するため、産業界と教育機関が一体となって、今後必要とされる能力等を備えた人材を育成することが求められている」と産学連携への期待を覗かせ、最後は「将来起こる大きな産業構造の変化に対応するため、本推計を一つの参考として、一人ひとりが新たな能力・スキルを身に付けて、次の一歩を踏み出す契機となることを期待している」と締めくくる。
やや上のほうから、私たちに経産省の皆さまならびに識者の皆さまが進言して終わるのです。中村高康先生をはじめ、教育社会学者が「新学力観」が何ら実は「目新しい能力が唱えられているわけでもない」と指摘するのもなんのその、新しい時代にはますますの「能力」伸長・開発を! というロジックを、社会システムを構想・監理する側が依然声高に称揚するのです。
さらに、経産省の方々はご丁寧にこの提言書で一覧も用意してくださっています。なんと先行研究を洗い出して、「必要な能力」を56に整理してくださったというのです。
極めつきは2050年を見据えて(!)トップ10の「必要な能力」も選んでくださったようです。ありがとうございます。
「能力」という仮構的な概念を疑うどころか、有る大前提。しかも、時代の変化に対応する国民であるためには、相応の「能力」獲得に懸命になることは当然のたしなみであるかのごとく。
国家の成長は我々一人ひとりがこれら数多の「求める能力」を備えれば確かなものになるのか、どうなのか。そもそもこんな「求め」に現実的に応えられる人間はいるのか、どうなのか。いろいろと分からずじまいです。
ダメ押しでもう一つ、いっそう跋扈する「能力主義」にまつわる世相を提示します。













