「今のままの自分と劇的に合う人がいるかもしれない」
――『独りで死ぬのはイヤだ』でも、お見合いでいい感じになった女性にLINEを返せないまま1カ月経ってしまったエピソードがありましたね。
又吉 僕が今までお付き合いした人と別れてきた理由、ほぼそれです。大きなライブの前とか小説を書いているときとか、ほんまに余裕がなくなってしまうんですよ。書いていることにも引っ張られるし。
コントで誰かがやるようなすごいベタな作家像ってあるじゃないですか。イライラして「誰も俺に近寄るな」みたいな、マジでああいう感じになってしまって。
しかも相手から来た連絡に対して「向こうのパワーと等価のパワーを差し出さな失礼や」と思うから適当に返されへんのですよね。それで「今は無理や」ってなる。結果として、もっと失礼なことをやり続けてるんですけど。
中川 「もうちょっと待ってもらえたら、もっと良い返事をちゃんと送れるから」って思ってしまいますね。
又吉 来てすぐ返すときの“いいもの”と、1週間2週間置いてしまった後の“いいもの”だと、後者は“いいもの”の質をもっと上げていかなダメじゃないですか。ほんなら“ちょっといい”ぐらいではダメやと思って、さらに後回しになって負債が大きくなっていくような感じがしますよね。
しかもそういう仕事に追われてるときって、1カ月が体感1週間ぐらいで過ぎていってしまうんで、それで連絡できないままになってしまって。だから漫画で描いていたこと、すごいわかります。
ただ僕は、緩やかに成長してる気はいつもしてるんですよ。絶対そういうふうになるってわかってるんやったら、相手に迷惑かかるからもう一生恋愛しないほうがいいじゃないですか。でも「次こそは大丈夫や」って毎回思っちゃうんですよね。それで結局同じことを繰り返してしまうんですけど。
中川 なるほど……すごいですね。僕は「次こそは大丈夫だ」とは思えないです。
又吉 「次もダメだろう」と。
中川 そう思いつつ、でも一応いってみる、みたいな感じです。
又吉 あぁ、「今のままの自分と劇的に合う人がいるかもしれない」ってことなんかな。だから恋愛しながら成長する必要がないというか。













