一強、高市政権の霞が関の評判
自民党の高市早苗政権が3月13日の衆院予算委員会の締め括り質疑にこだわった理由は至極単純である。この日に衆院の質疑を終えて採決し、16日から想定している参院の基本質疑入りできれば、3月末の25年度内に令和8(2026)年度の一般予算を成立できるからだ。
そうすれば、来る19日の米ドナルド・トランプ大統領との日米首脳会談にも余裕をもって臨める――。
衆院の唐突な解散、総選挙によって年度内の予算成立が絶望視され、批判を浴びた高市政権はそれを見返そうと、強引な国会運営に突っ走った。日本初の女性宰相の真意はどこにあるのか。官邸を支えるある霞が関の官僚は「最近の総理はトランプ化しているように感じる」と次のように評した。
「高市総理はとにかく批判されることを嫌います。12月の通常国会開催をしていた頃の解散はあったけれど、年が明けて国会が開かれるようになってからの冒頭解散は初めての経験です。そのせいで予算の年度内成立の見通しが立たなくなっていたのに、『私のせいじゃないわよ』と言いたいために無理やり3月末までに予算を通そうとしている。
そんなつまらない理由だと野党のみならず誰もが感じています。ですが、総理は一度言い出したら何を言っても聞かない。役人はもとより側近と呼ばれている国会議員もそれがわかっているから逆らえません。まして総選挙で衆院の3分の2の議席をとってしまったのでなおさらです」
トランプ化とは「裸の王様」と同義なのだろうが、高市の問題はそれだけではないようだ。官僚はこうも言う。
「まわりの言うことを聞かないために判断を間違ったり、失言が多かったりします。そこもトランプと似ている。TACO理論と揶揄されて、関税政策で迷走したり、対中、対露の外交で腰砕けになったり……。高市総理はまだ政策の実績が乏しいので表面化していないけれど、たしかにそっくり。なので、TACO高市なんて呼ばれ始めています」
Trump Always Chickens Outの略称TACOは言うまでもなく、フィナンシャル・タイムズのコラムニストであるロバート・アームストロングがトランプを揶揄した造語だ。
ウォール街のトレーダーから端を発し、世界中で広まった。昨今のベネズエラやイランに対する国際法を無視した勝手な攻撃もその一つといえる。もっともこの間、米大統領が本当に日本の首相を頼り、強固な同盟関係づくりを願ってきたか、といえばそこは甚だ疑問ではある。
ここではまず、昨年秋の高市内閣誕生にさかのぼり、さまざまに語られてきた舞台裏を覗く。













