ガソリン補助金、極めて不安の残る政策
現在、高市早苗政権の経済政策、とりわけエネルギー政策を見ていると、いささかの危惧を覚えざるを得ません。例えば、石油備蓄やガソリン価格高騰への対応です。
漫然とガソリン補助金を出し続けていますが、経済政策という観点からすれば、これは極めて不安の残る政策です。
仮に、現在の中東情勢を巡る争いが短期間で終結すると本気で読んでいるのであれば、価格変動を一時的に平準化するために補助金を出したり、備蓄を放出したりすることには一定の理屈が成り立ちます。
しかし、現実の国際情勢を冷静に分析すれば、今の事態がすぐに好転するとは到底思えません。それにもかかわらず多額の税金を投入して補助金を出し続ける理由はただ一つ。政治的に国民を不安にさせず、内閣支持率が下がることを避けたいという思惑に他なりません。
トランプが犯した「2つの大きな失敗」
本来であれば、国難とも言えるエネルギー危機の現状において、政府は「自粛を早く促す」べきなのです。
国民に対して「安心だからこれまで通りガソリンを使ってください」という耳当たりの良いメッセージを発するのではなく、社会全体に省エネへの移行を促し、エネルギー源の多角化やイノベーションに向けた工夫を後押しするのが筋です。支持率を気にして補助金をばらまくのは、まさにポピュリズムと言わざるを得ません。
では、なぜエネルギーを取り巻く国際情勢がこれほどまでに混迷し、出口が見えなくなっているのでしょうか。根本的な原因の一つとして、私はドナルド・トランプ米大統領が犯した「2つの大きな失敗」があると考えています。
一つは、勝算のない戦いをイランに対して挑んでしまったことです。簡単に終わると思っていた対立が泥沼化してしまった。しかし、それ以上に決定的なミスは、2018年にオバマ政権時代に結ばれたイラン核合意(JCPOA)から安易に離脱してしまったことです。
オバマ合意に含まれた問題点
オバマ合意には様々な問題が含まれていたかもしれませんが、少なくとも「向こう15年間は高濃度のプルトニウムを作らせない」という確固たる制約がかけられていました。
トランプ氏は「そんなものは甘っちょろい。15年経ったらまた変なことをやるだろう」と勇ましく合意を反故にしました。しかし結果としてどうなったか。15年間作らないという約束が破棄された瞬間から、イランは堂々と高濃度プルトニウムの製造を再開してしまった可能性が指摘されます。
それが今、最も厄介な問題として国際社会に重くのしかかっています。アメリカが安易に離脱したために、皮肉なことにイランを非常に有利な立場に立たせてしまった。
今になって関連施設を物理的に攻撃して潰そうとしても、すでに強固な容器に保管された高濃度の核物質は潰せません。土中から掘り起こせば、いつでも兵器転用が可能になる状態にあると言われています。
アメリカとしても、核兵器開発をやめさせるという目的を掲げたからには、簡単には引き下がれません。拳を振り上げた以上、両国とも「勝った」という体裁を整えなければ矛を収めることはできない。しかし、出口は全く見えないのです。













